クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
私たちは揃って頭を下げた。
心配しないで、お母さん。私はどんな形でも、幸せになってみせるから。

「ところで瑛輔くん、凜と会ったのはお見合いの日が初めてではないそうね?」

声のトーンをすっかり明るくした母は意気揚々と語りかける。
私はまた別な意味でドキッとして、瑛輔の横顔に訴えた。

ストーカーのことは言わないでよ!

「…ええ、そうなんです。お見合いの数週間前に、偶然凜さんとお会いしていて。私は任務中だったのですが、仕事に戻らなければいけない私を気遣って道に迷ったおばあさんの案内を手伝ってくれました。名前を聞きそびれてしまったために、彼女がお見合いの場に現れた時は驚きました。運命かと思うほどに」

す、すごい。澱みなく紡がれる彼の言葉に一体真実がどの程度紛れているのかも分からない。
私のことはあの時点で身辺調査済みだったそうだし、おばあさんを助けた覚えももちろんない。助けられたのは私なのに、いつの間にか入れ替わっているのもなんというか…。

嘘が上手すぎない? この男。
たまたま助けた女が見合いの相手だったっていうのは、たしかに運命的にも思えるけれど。

「実はその時から、優しく聡明で美しい凜さんのことを忘れられず、またどこかで会えたらと密かに願っていました」
「ちょっ、瑛輔、」
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