クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~

時間も遅いので歓談もそこそこに、両親に見送られ瑛輔と外の門まで歩く。

「瑛輔、今日はありがとう。ちょっとやり過ぎなくらいだったけど、母には効果てきめんだったかも」
「凜もなかなか良かったぞ。しっかり顔を赤くして照れた様子は完璧だ」
「え、瑛輔が恥ずかしげもなく言うから!嘘でも熱くなるわよ…」
「別に、全部嘘とは限らないだろ」
「…そうね。 優しく聡明で美しい私のことが忘れられなかったとか? お褒めに預かり光栄でしたわ」
「おまえも大概、自信があるタイプだな。強気な女は嫌いじゃない」

いちいちムカつくわね。
でも、こうして軽口を叩き合うのは悪くない。
私たち、そういう気軽な関係にはなれないかな?

「凜、もういいから中へ入れ。俺は勝手に帰る」
「…うん」
「週末迎えに来る。 風邪ひくなよ。…またな」
「うん、また…」

こうやって、ちゃんと私が家に入るまで帰らないのも、瑛輔の優しさに思えてならない。
彼はただ義務で私を守ろうとしているだけ。
夫が妻を心配するのとは違う。…まだ夫婦じゃないけれど。

普段クールで表情の変化が分かりにくい彼だから、あんな風に真剣に語っているのを聞くと本当に……

「…って、ダメダメ。私たちは偽装夫婦になるんだから」

余計なことを考えて瑛輔に結婚を白紙に戻されたりしたら困る。
このまま一定の距離を保って、私たちは夫婦になるのだ。

< 30 / 101 >

この作品をシェア

pagetop