クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
その週の木曜日も、瑛輔の帰宅が早かった。
せっかくだからと外食することなり、私たちは家を出る。
1歩外に出れば、瑛輔は愛妻家モードがONになる。
暖を分けるようにぴったりくっついて、エスコートも完璧。私を本当の妻のようにして扱う。
訪れたのは気軽には入れないフレンチのレストランで、柔らかいお肉が絶品だった。
車は置いてきたので、ふたりでワイングラスも傾けた。
「凜が気に入ったなら、また来よう」
「うん。 今度はメインディッシュをお魚にしようかな」
「…凜はこういう店と、気楽な居酒屋とか定食屋だったらどっちが好み?」
「うーん。いいお肉といいお酒は、何にも変え難い贅沢を味わえるから好き。ビールにおつまみや定食は、手が届くご褒美?時間を忘れて楽しめるから好き。 これって答えになってないね」
へらりと笑うと、瑛輔はふっと微笑んで言う。
「いや。でもやっぱり、次は駅前の居酒屋に行こう」
「いいけど、どうして?」
「俺も時間を忘れてビールが飲みたいから」
何かに対抗するみたいに、少し拗ねているように見えるのは酔っているからだろうか。
私はあまり深く考えず、思いついたことを口にしてみる。