クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~


翌朝、私が起きた時には瑛輔は出勤した後だった。

昨日の今日で顔を合わせるには私がいたたまれないので、正直ほっとしてしまう。

だけどやっぱりあれは、夫婦ごっこの延長だったのだ。
今夜は顔を見ずに就寝することになるだろうから、そのまま忘れてくれって意味。

人の感情を掻き乱しておいて勝手な男だ。

私も、振り回されないようにしなきゃ。




「凜〜! 会いたかったぁ!」

退勤後、同期の2人と居酒屋でジョッキをぶつけた。
真紀は部署が違うので会社ではあまり会わない。

真紀も佐々木も、私が社長令嬢なのを知っていても気軽に接してくれる。2人といるとただの同期になれるのが嬉しい。

真紀が私に抱きつくのを見て、佐々木が大袈裟に苦い顔をする。

「谷崎は相変わらずうるさいな。 てか俺は?一応俺もいるんですけど」
「佐々木は別に久しぶりでもないし〜。この間だってあんたのヘタレな恋愛相談散々聞いてやったでしょ!」
「え、佐々木、好きな人いるの?」

思わず口を挟むと、佐々木は分かりやすく狼狽する。

「ち、違う…いや、違わないけど…えーっと…って、谷崎! にやにやすんな!」
「ダサいぞ、佐々木〜」

このふたりのやりとりは見ていて飽きない。歯に衣着せぬ言い合いができる関係って、やっぱり楽しいんだろうな。
2人とも子どもみたいにはしゃいでいて、つい笑みがこぼれる。
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