クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
父の案内で訪れた『古嵐定食』はアットホームな雰囲気が温かいお店だった。
私と同じ歳くらいの女性とその旦那様らしき男性の接客も感じが良く、お客さんに愛される地域密着型の定食屋さんみたいだ。
お土産に季節限定のおでんまで買ってしまった。出汁の香りにそそられてはたまらない。
今夜のメニューはおでんに決まりだけど、瑛輔は帰ってくるだろうか。
あとで連絡してみよう。
満たされた気分でお店を出て車に戻ろうとしたところで、ふと向かい側の道路に視線を向ける。
「瑛輔…?」
遠目からでも見つけてしまうのは、彼のことを考えていたからなのか、はたまた……彼が1人では無かったからか。
この時間、瑛輔は仕事中のはずだから外で見かけても何もおかしくはない。
だけどあれはなに…?
瑛輔が一緒にいるのは金髪の女性だ。
その女性は瑛輔に寄り添うようにして立っている。肩に手をかけ、顔を近づけて楽しそうに笑っていた。
それだけならまだ良かったのかもしれない。
ちらりと見えた瑛輔の表情が、とても柔らかく緩んでいた。
少なくとも私は、瑛輔があんな風に笑うところを見たことがない。
女性に比べたらものすごく楽しそう、という訳ではなくても、私に見せる無愛想なそれとは違う。