クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
瑛輔はあれで硬派だから、結婚してる以上道理に反することはしないと思っていた。
だけどよく考えたら、瑛輔の欲求を満たす行為ができるはずの妻である私に、彼は触れない。そういうことはしないと線を引いているのだ。

瑛輔だって男なわけで、他で満たそうとするのは自然なことなのかもしれない。

私が勝手に期待してしまっていただけ。
夫と…瑛輔と本物の夫婦になれるかもしれないという理想を、捨て切れていなかったのだ。

だとしたらここで浮気だと責め立てる権利は私にはないのでは?

金髪の女性とは割り切った関係で、愛人として気持ちがあるわけではないとしたら尚更だ。
瑛輔は鼻から私を本当の意味での妻にする気はなかったのだから。それは結婚を決めた時、瑛輔の口から聞いたことだ。

頭ではいくらでも冷静な考えが浮かんだ。

それなのに、胸の奥ではずっと嫌なものが渦巻いている。
気持ちだけが追いつかない。瑛輔の顔を見たら我慢できないかもしれない。溢れ出てしまうかもしれない。

瑛輔が女の人と親しそうに並ぶあの光景が、胸を痛めつけて仕方ない。

これはなに…?なんで私は、こんなに悲しいの……。

その日は眠る気になれず、ぼんやりとソファに座って過ごした。
持って帰ってきたおでんも食べていない。瑛輔に連絡ももちろんしていない。もしかしたら、彼は食べてくれないかもしれない。

何時になったのだろう。玄関の鍵が開いて、瑛輔が帰ってきたのが分かる。

ああ、どうしよう。今更ながら彼には会いたくない。こんなことなら、無理にでも眠ってしまえばよかった。
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