クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
好き……そうか、俺は凜が好きだったのだ。
学生時代、元から整った顔と文武両道に秀でてモテた俺は、告白してきた女子と付き合ったりもした。だけどどうにも本気になれなかった。どこか満たされなかった。それは俺の心に、ずっと凜がいたからなんだ。
使命感がいつの間にか、会わぬ間に別な感情に変わっていたのだ。

『凜に会いたい。結婚は彼女とする』

ぐっと拳を握りしめ、そう祖父に言った。
それからすぐ、祖父が話を進めた。

しかしなんの因果か、彼女と再会を果たしたのは思いもよらぬ場面だった。

凜が暴漢に連れ去られそうになっているところに出くわしたのだ。
俺は動揺と焦燥に駆られる中精一杯冷静さを保ち、他人のフリをしたままやり過ごした。

まさか、俺たちは昔会ったことがあって、今度見合いをするのだと告白するわけにもいかないだろう。
俺は考えた。どうすれば凜と結婚できるか。短時間で凜の心まで落とすのは無理があるから、とにかく結婚に持ち込むのが先か。書類上で契約を結んでしまえばいいわけだ。簡単に離れられない状況を作ったら、その後はじっくり時間をかけて、嫌悪感を抱かれないよう慎重に……
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