クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
ふっと嘲笑を浮かべ、晃太くんは勝ったように俺を見る。

「姉ちゃんは顔を見たくないそうです。父と母には言ってないみたいですけど、泣かせたんですよね。俺には『瑛輔が来ても絶対に家に入れないで』って、今朝も念押ししてきました。この時間、両親は地域の健康会に参加していて家にいないですから」

俺が仕事帰りに来ることを予想した上での対策ってことか。
会いたくないと拒絶されている現実に打ちのめされそうになる。それほどに凜を傷つけたのだ。

背筋を伸ばし、仕事中と同じくらい神経を集中させる。
晃太くんは俺と知っていながら出てきてくれた。ここで引き下がったり彼の反感を買うようなことになればそれこそお終いだ。

俺は毅然とした態度を貫いた。

「分かった。晃太くん、ありがとう。また明日来ます」
「ちょ、だから姉ちゃんは会いたくないって、!」
「ああ。でも諦めない。ここで引いたら、俺は一生後悔する」
「な、何回来ても俺が絶対会わせねーよ!」

ピシャリと扉は閉められ、俺は短く嘆息する。

簡単にはいかない。だがやはり、嘆いている場合ではないのだ。
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