クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~


春の温かな太陽が美しく差し込むチャペルで、私たちは夫婦の誓いを立てた。
初めてのキスもした。軽く触れるだけの誓のキス。人前でなんて恥ずかしすぎてどうにかなりそうだったけれど、瑛輔の方が緊張してカチコチだったので思わず笑ってしまった。

素がクールで強面なのに、表情が強ばっているせいで余計に目力が。数ヶ月前だったら、不機嫌なのかな、なんて思ったかもしれない。見た目よりずっと優しくて不器用だから、こんな顔になっちゃうだけなのよね。


挙式をつつがなく終えて、披露宴のために一度下がったところで瑛輔のお兄さんが到着した。
私との挨拶のために控え室で待っていてくれたようで、私と瑛輔の姿を見るなりお兄さんは破顔して駆け寄る。

「瑛輔! 凜さん! こんな大事な日に遅刻してしまってごめんね」
「兄貴、間に合ったんだな」
「ああ、空港からタクシー飛ばしてもらったよ。それにしても、我が弟ながらこんな美人さんをお嫁にもらうなんてなぁ!」
「初めまして。凜です。お兄さんにお会いできて嬉しいです」

お兄さんの誠さんは明るく陽気な人だ。ご両親とは対称的で、瑛輔も砕けた様子で話している。
そこへ式場のスタッフから声がかかり、瑛輔が呼ばれた。新郎新婦は忙しい。食事をとる暇もないと聞くけれど、この調子だと本当にそうなりそうだ。

「大人になったね、凜ちゃん」

瑛輔を見送ってから、不意にお兄さんが呟く。
彼とは今日が初対面のはずだけれど、なんとなく気になった私は問う。
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