クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
「お兄さん、もしかして昔、会ったことがありますか? 私の祖父が亡くなる前、よく遊んでくれた男の子がいたんです」

たしか小学生だったと思う。祖父の親友のお孫さんだという年上の男の子が祖父の家に遊びに来ていた時期があった。祖父が亡くなったとき、泣きじゃくる私を男の子が優しく抱きしめてくれたのを覚えている。

実家で瑛輔に抱き寄せられた時にその感覚を思い出した。瑛輔は特に何も言わなかったから、彼ではないのだろうと思っていたけれど……

「うん。たしかに俺ときみは子どもの頃に会ってるよ」
「やっぱり…!」
「でも1度だけだ。それも、迎えのついでにちらっと挨拶しただけ」
「迎え…って、」
「これ以上は瑛輔に怒られちゃうし、俺の口からは言えないかなぁ。 あ、ほら、花嫁さんが呼ばれてるよ。俺は会場で待ってるね〜」

お兄さんは笑顔でひらひらと手を振って行ってしまった。
瑛輔と私は、会ったことがある…?
瑛輔は覚えていないってことかな。私が小学生、男の子は中学生。
祖父が亡くなる前の一時だけだったし、忘れていてもおかしくはない。

うーん。祖父の葬儀で抱きしめてくれた男の子のことを思い出したら、なんだか気になってしまう。瑛輔に怒られるってお兄さんは言っていたけど、私は彼に聞いてもいいのかしら。

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