クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
結婚式は無事に終わった。今夜はホテルに宿泊だ。ルームサービスで披露宴中食べられなかった食事が運ばれてくる。シャンパングラスを傾け、美味しい料理に舌鼓を打った。
「大変な1日だったな。その分達成感もあるけど」
「ひと仕事終えた〜って感じよね。よく頑張ったわ、瑛輔も私も」
忙しかったけど、瑛輔のご家族ともお会いできたし、職場の方やご友人、彼を取り巻く人々に触れられたのはなんだか嬉しかった。
私はこの人の妻なんだなあと感慨深くもなった。
「凜、綺麗だった。今にも抱き寄せたいのをずっと我慢してたくらいだ。忙しすぎて、2人きりになる時間はなかったし」
瑛輔はそんなことを言う。私は驚いて、くすくすと笑う。
「なあに? どうしたのよ、急に褒め称えちゃって。酔ってるの?」
「挨拶で酒はすげぇ飲んだけど。酔ってない。明日記憶が無いなんてこともない。…だから困るんだ。意識がはっきりしてるから、今夜おまえに手を出さずにいられるかどうか」
これは、からかってる…わけじゃなさそう。
彼は至極真面目な顔で私を見つめる。熱を帯びた瞳に、胸がきゅうっと苦しくなった。そんな顔をしないでほしい。彼に触れたいと、触れてほしいと思ってしまうから。
「そんなこと言って、瑛輔は私にキスもしないじゃない」
精一杯の強がりのつもりだった。ドキドキしているのを悟られたくなくてありもしない余裕を装う。
「キスなら…」
「今日のあれはノーカウントでしょ。誓のキスって、大勢に見られてたから実感なかったの。一瞬だったし」
「そんなに見られてたか?」
「ええ? 瑛輔、緊張してたじゃない。大注目されてたからだと思ってたんだけど…」
「緊張はしたけど、それは凜が直視できないくらい綺麗すぎたからで…他人の視線は気にする暇も無かった」
なんだか瑛輔が瑛輔じゃないみたいだ。いつもの彼はこんなこと言わない。