クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
「じいちゃんが、倒れたって。病院から連絡があった」
「え、よ、容態は?」
「分からない。親父に先に連絡したみたいだけど繋がらないから俺にかけたらしい。今から来れるかって」
「それなら早い方がいいわね。運転、大丈夫? といっても、代わってあげることはできないから…タクシーと文月の運転手を呼ぶの、どちらが早いかしら」

瑛輔のお祖父様。お見合いの日にお会いして、結婚式にも参列されていた。その時はお元気そうに見えたけれど、持病をお持ちだとは聞いていたので心配だ。瑛輔は表には出さないようにしているつもりらしいけれど、動揺している。
いつも即決の瑛輔が結論を出して行動に移せないのだ。私がしっかりしないと。

「凜は先にタクシーで帰ってろ。何時になるか分からないし、俺なら大丈夫だか――」
「何言ってるの。瑛輔の大切な家族のことよ。私も行く。…平気なフリしなくていいのよ、瑛輔。ほら、タクシー拾おう」
「ああ…ありがとう」

こんな時にまで私の心配をする。少しは自分のことで精一杯になってもいいのに。私に弱みを見せてくれないのは、今後の課題かもしれないわ。

私たちはタクシーで病院へ向かった。道中、瑛輔はすごく静かで、私は自分の手を彼の手に重ねた。
不安と緊張からだろう。瑛輔の手はさっきまで暖かかったのに、すっかり冷えてしまっていた。

< 87 / 101 >

この作品をシェア

pagetop