クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
真司さんが消えていった方向に舌打ちをしたかと思うと、男性はこちらを見下ろしぐっと肩を押す。私が自分の力で立ったのを確認し、口を開いた。
「大丈夫か?」
「は、はい…すみません。助けていただいてありがとうございます」
正面から向き合うと、男性はスーツのしわを整える。
ガタイのいい体躯にパリッと着こなされたそれを見るに、一般のサラリーマンとは違う雰囲気を感じた。
「ああ、それはいい。あれはストーカーか?かなり執着されているようだったが」
「いえ、実は、元婚約者なんです。色々あって婚約破棄したのですが…あ、でもそういえば、私が1人になるのをずっと待ってたって…」
男性は私の話に顔を顰める。
「…可能性は高いな。 とりあえず、歩けるか? 安全なところまで送る」
「そんな、もう大丈夫なので、あとは自分で、」
「そんなに震えて、大丈夫などとよく言う。怖かったんだろう。無理もない、あれは完全に正気を失っている人間の目をしていた」
「それは…」
未だに手が震えているのを指摘され、視線を逸らす。
怖かった。この人がいなければ、今頃私は……
「行くぞ。俺は仕事があるんだ、早くしろ」
唇をかみ締め俯いた私に、男性はさっさと踵を返して行ってしまう。
ここで迷惑をかけない1番の選択は、黙って彼に着いていくことだった。
「大丈夫か?」
「は、はい…すみません。助けていただいてありがとうございます」
正面から向き合うと、男性はスーツのしわを整える。
ガタイのいい体躯にパリッと着こなされたそれを見るに、一般のサラリーマンとは違う雰囲気を感じた。
「ああ、それはいい。あれはストーカーか?かなり執着されているようだったが」
「いえ、実は、元婚約者なんです。色々あって婚約破棄したのですが…あ、でもそういえば、私が1人になるのをずっと待ってたって…」
男性は私の話に顔を顰める。
「…可能性は高いな。 とりあえず、歩けるか? 安全なところまで送る」
「そんな、もう大丈夫なので、あとは自分で、」
「そんなに震えて、大丈夫などとよく言う。怖かったんだろう。無理もない、あれは完全に正気を失っている人間の目をしていた」
「それは…」
未だに手が震えているのを指摘され、視線を逸らす。
怖かった。この人がいなければ、今頃私は……
「行くぞ。俺は仕事があるんだ、早くしろ」
唇をかみ締め俯いた私に、男性はさっさと踵を返して行ってしまう。
ここで迷惑をかけない1番の選択は、黙って彼に着いていくことだった。