クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
搬送されたのは、瑛輔のお祖父様が入院している病院だった。
瑛輔は一命を取りとめた。出血が多く血圧が著しく低下したせいで意識を失ったそうだ。
私と一緒に救急車に同乗した佐々木は、背中に軽い打撲を負っていたので処置を受けて、今朝帰宅した。
救急車を呼んでくれた警官は瑛輔の元部下だそうで、ここにも来てくれたけれど丁寧に頭を下げて帰ってもらった。今日も仕事があるだろうし、疲れを残すわけにはいかない。
朝日が昇って病室に日が差し込むようになっても、瑛輔は目を覚まさない。
お昼になっても食欲は湧かなかった。そういえば、昨日の夜から何も食べていない。職務上の怪我ということで、お見舞いも兼ねて来てくれた瑛輔の上司の辻さんが軽食を買ってきてくださったけれど、手をつける気にはなれない。
ベッドのそばに腰掛け、瑛輔の手を握っていたら、不意にノック音が聞こえた。
「おや、凜さん。もしかしてずっとここに居たのかい?」
穏やかな声音で言いながら顔を出したのは瑛輔のお祖父様だ。
入院中でありながらもだいぶ回復されたようで、今はリハビリに励まれていると聞いている。
「まあ、よく眠ってるなぁ。そろそろ起きてもいいんじゃないか? 瑛輔」
「医師の話では、あとは瑛輔の回復力にかかっているそうです。…このまま目を覚まさなかったらどうしよう」
思わず吐露すると、お祖父様が深くしわを刻み微笑んだ。