エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
ニゲラ <困惑>
 はぁ、ドキドキした...。香月先生が部屋を出てから数秒後、思わずため息が漏れた。
 回診が終わってまたすぐにドアがノックされ、そこに立っていたのは...紺のスクラブに白衣を羽織った長身の男性。切れ長の目にスッと通った鼻筋、形の良い薄い唇がバランスよく配置された恐ろしく端正な顔。
 誰だろう...と思った次の瞬間には、思い当たる人物が頭に浮かび身体が硬直した。
 少し硬いクールな雰囲気も相まって、恐怖心に似たようなものがあったけれど...話してみると勝手に想像していた様な方とは全く違っていた。それに、ふっと少し微笑んだ時の柔らかい表情に...ドキッとした。何故だかわからないけど、しばらく動悸が止まらなかった。

 そして五日後に無事退院し、週末は祖父母の家でおばあちゃんの手料理をたくさん食べて自分のベッドでゆっくり眠って、身体も心もすっかり元気になった。
 あれ以来香月先生が病室に来られることはなく、職場で再会した時は勝手に少し気まずさがあったけれど、先生は全く気にした様子もなく仕事中はクールな印象。オペに入っている事が多く、関わる機会は少ないので内心ほっとしていた。
 結城先生のおかげで最近は体調もよく、仕事は忙しいけれど充実していて私にとって平和な日々がまた戻ってきた。
 
 そんな穏やかな日々が続き、外の空気はすっかり秋らしくなってきたある日。
 休憩から戻った天宮さんは「あっ!ごめん、優茉ちゃん休憩入るのちょっとだけ待ってくれる?」と慌てた様子。
 「どうかしました?」
 「この書類、私が休憩に入る時に院長室に持って行こうと思ってて忘れていたの」
 「私で良ければ届けますよ?」
 「本当?ごめんね!頼まれていた書類だから渡すだけでわかると思うの」
 「じゃあそのまま休憩行ってきますね」と書類を受け取り、私は滅多に行く事のない院長室へと向かった。
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