素直と天然と少しの頑固を加えて
私の顔を見つけると、鈴木さんは笑顔で帰っていった。
「お待たせ」
克君がすっかり疲れている。
「待ち合わせ場所、ここは辞めた方が良いな」
鈴木さんと何を話してたのか気になった。
でも、なんて切り出して良いのか判らない。
それに最近は出張続きで疲れている克君に余計なことは言いたくない。

最近はネットだけでは無く、空中店舗やいずれは路面店を計画している。
デパートなんかも考えたみたいだけど、自分達の自由になる店の方が魅力があるらしい。
そんな忙しい克君には二人の時くらい、ゆっくりしてもらいたい。

「前話してた和食屋さん、今日、個室が予約取れたんだ。楽しみだね」
モヤモヤした気持ちを打ち消すように明るく振る舞って見せた。

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