素直と天然と少しの頑固を加えて
「無理、無理。だってお泊まりの用意なんか持ってきてないもん」
あったら良かったのか?泊まったのか?
「なら来週末、用意を持ってきて」
良く言った、俺。
「…、判った」
紗依は耳まで真っ赤になっている。
俺は心の中でガッツポーズをしながら平静を保った。

俺はその後、平気の振りをしたけど、紗依は完全にいつもと変わらない。
前菜の写真を撮り、あとは忘れて相変わらず美味しそうに食べている。
メインは撮ったことがない。
いつも前菜だけ…。
あれ?今日はメインも撮っている。
紗依もいつもと違うのか。
それなら嬉しいし、良いなと思ってしまった。

今夜は、いつもより足取りが重い。
でも『来週と言ってしまったから』と言い聞かせ、彼女を自宅まで送り届けた。

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