わたしを「殺した」のは、鬼でした
「それにしても、暁月様が牡丹様以外の女性といらっしゃるなんて、珍しいこともおありでございますよぉ」
「詮索するな。成り行きだ」
「まあ、成り行き! 暁月様が成り行きで行動されるなんて、明日は大雪ですかねえ」

 女将さんと千早様は仲がいいのだろうか。女将さんがふふふと笑いならが軽口を叩いて、「ごゆっくり」と部屋から下がっていく。
 千早様は疲れたように息を吐き出した。

「気にするな。あの女将は俺の父の代からの付き合いで、そのせいか祖母のように揶揄って来る」

 ……祖母。

 外見的には祖母という年齢では決してなかったけれど、長寿の鬼を人の理で判断することはできない。驚きつつも、そういうものなのかと納得していると、わたしの前にすっとお団子を乗せたお皿が置かれた。

「俺は一つでいい。あとはお前が食え」

 お団子は全部で八本ある。
 つまり、七本のお団子を食べろと言うことらしいが、いくら一つが小さめでも、七本は無理かもしれない。
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