弟、お試し彼氏になる。
ぎょっとして、いい具合のほろ酔いが一気に醒めた。
だってまさか、登録したばかりで連絡が来るとは。
マイナーだとは思っていたけど、利用者が少なくて集中するんだろうか。
それとも、もしかしてサクラ?
もしくは、ロマンス詐欺的な――って、さすがにそれは嫌。
『いきなり、すみません。迷惑でした……? 』
かなりの時間、フリーズしていたのかもしれない。
もしかして、何度か躊躇うように消した後、そんなふうに送ってくれたのかも。
彼の方に発生したそんな間も、何だか妙に現実味があった。
「いえ、すみません。登録したばかりだったので、びっくりして」
(……しまった)
つい、高速でそのまま返信してしまった。
『あ、そうだったんですね。それは驚きますよね。登録したばっかりでいきなり来られたら』
「まだ、ちょっとよく分かってなくて。これ、どんな感じですか? 」
(……でも、考えようによっては、これでよかった……かも)
『いや、俺も別にこれベテランじゃないから。確かに、ちょっとよく分からないですね。でも、なんか』
――もしかしたら、って思っちゃいました。
あれこれ考える暇もなく始まったことで少し緊張が和らいだし、それにこんなに普通にやり取りができたのは初めてだ。
ううん、それどころか。
「ベテランなんていう意味では。その……どうなのかなって思って」
『あ、つまりマッチング率のこと? 』
本人にずばり聞き返され、さすがに文字でも何と返していいか詰まる。
メッセージでも沈黙は肯定と見なされたらしく、ちょっと迷うように時間を置いた気がするけど、きっとほんの数分にも満たなかったんだと思う。
『どうなんだろ。性格までは、さすがにAIにマッチングはできないだろうし。だって、事前アンケートで性格汲み取るのは無理じゃないですか。無意識にいい格好しちゃいそうだし』
それもそうだよね。つまり――……。
『俺のこと、試してみる? 』