結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
「本日、大分行きの便に乗務します赤池(あかいけ)です」
「津城です」
「パイロットになって三年目です。いろいろと学ばせてください。よろしくお願いします」
「ああ、よろしく」


今回初めて組むが、くりっとした目が愛嬌のある、素直な感じのする男だ。
 ブリーフィングの前になると、コーパイは同乗する機長を探し出して挨拶をするのが通例となっている。初めて組む相手の場合、社内の顔写真で確認してから声をかけるが、写真と実物の印象が違うこともあり、間違えて声をかけてしまうこともある。コーパイ時代の優成も何度か人違いをしたものだ。

 自己紹介とともに最近のフライト経験も共有してから、出発前確認に入る。


「南風が強そうだな」


 ブリーフィング用のパソコンの前に立ち、優成が呟く。


「そのようですね」
「離陸は16で準備だろう」


 滑走路には磁方位に沿って360度の番号が振られ、航空機は通常、向かい風方向に離陸している。羽田空港の場合、南風のときはおもに160度方向を向いている滑走路を使って離陸する。
< 118 / 294 >

この作品をシェア

pagetop