結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
 複雑な家庭環境だったとはいえ、ここは優成にとって家族との思い出の場所。そこに史花を連れてきてくれた。確実に一歩、彼に近づけた気がしたのだ。


「ありがとうございます」


 繋いだ指先にかすかに力を込めると、そっと握り返された。
 そうして仄暗い洞内を突き進んでいくと、不意に視界が開ける。これまで狭かったのが嘘のように、上にも横にも空間が広がった。日原鍾乳洞のメインの場所のようだ。ライトアップされた岩肌が青や緑、紫と移り変わっていく。


「なんだか異世界に迷い込んだみたい……」


 自然の芸術品、不思議な空間だ。


「すごいですね。……そうだ、優成さんは空から見えるお気に入りの景色ってありますか?」


 芸術的な光景を見て、ふと聞いてみたくなった。パイロットならではの景色がきっとあるだろう。


「ビーナスベルトかな」
「ビーナスベルト?」


 初めて聞く言葉のため、繰り返して聞き返す。
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