結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
レッスンが終わったあと、史花は教室で仲良くなった生徒とお決まりのカフェへやって来た。外観も内装も南欧風をイメージしたオシャレなその店は、お昼時を過ぎても席がほぼ埋まっていることが多い。
「今の時季はテラス席がいいわね」
そう言って振り返った住吉喜乃に、史花は「そうですね」と返した。
店員に案内され、丸テーブルに喜乃と向かい合って座る。街の喧騒に紛れてそよぐ風が心地いい。
「今日はなにを飲もうかしら」
メニューを広げて彼女が悩みはじめる。
喜乃は御年七十五歳。白髪こそ混じっているがショートカットの髪はいつも綺麗にセットされ、艶やかな頬は年齢を感じさせない。
品があり、くっきりした二重瞼や通った鼻筋など、美的要素は数知れず。今も美しいが、若い頃は相当モテたに違いない。ペールピンクのブラウスが、よく似合う。
(ベージュのカットソーを着た私より、ずっと華があるわ)
人は年齢だけでは判断できないと、喜乃を見ていると史花はいつも思わされる。