結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
 ドキッとした。搭載燃料の件だろう。環もあの場に居合わせたのかもしれない。
 微笑んでいるのに彼女の目は氷のように冷ややかだ。体調を気遣う言葉は嫌味だったのだと遅ればせながら気づく。


「……ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」


 ミスは事実のため、史花は謝る以外にない。


「キャプテンに気づいてもらえてよかったわね。もしもあのまま飛んでいたら一大事だったわ」
「以後、十分気をつけます」


 環の言い分はもっともだ。搭載燃料の読み誤りによる事故は過去にはないが、可能性がゼロとは言いきれないため、細心の注意を払っていく以外にない。


「そうね。じゃないと有能なパイロットの津城さんの名も穢してしまうもの。いっそ今のうちに妻の座を降りるっていうのもアリなんじゃないかしら」
「はい?」

(妻の座を降りる? ……離婚ってこと?)


「そもそも本当に結婚してるのか怪しいところだわ」
 ギクッとした。
「し、してます」
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