結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
「そう? だけど、こんなところで油を売ってていいの? そろそろフライトの時間じゃない?」
「白石さんに言われなくてもわかっています」


 袖を捲って腕時計を指し示す白石に、環が刺々しく返す。片方の眉をぴくっと動かし、不満そうに彼を見た。


「わかっているなら急いだほうがいい」


 白石がさらに急かす。手で追い払うような仕草までしたものだから、史花のほうがヒヤヒヤする。
環は険しい表情で顎をツンと上げ、史花を一瞥して踵を返した。

ヒールの音が遠ざかったところで、史花はふぅと息を吐き出す。


「史花ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫です」
「なんか不穏な空気が漂ってたから思わず声をかけたけど。彼女、キツイから堪えるだろ」


 はっきり言いきる白石に向かって目を瞬かせる。


「史花ちゃんが津城さんと結婚したのが納得いかないって、方々で触れ回ってるらしいしね」
「そうなんですか……」
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