結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
 「定刻通りに着陸できそうだな。ここまでスムーズだったが最後まで気を抜かないように」


 景色を横目に操縦桿を握る赤池にアドバイスする。


 「はい。だけどやっぱり離発着は緊張しますね」
 「心配するな。俺も未だに緊張する」


 これは赤池を安心させるためのリップサービスではない。


 「えっ!? 津城さんレベルでも緊張するんですか?」
 「もちろん。俺は着陸よりも離陸のほうが気を使う」
 「あぁ、なんとなくわかる気がします」


 赤池は小刻みに何度も頷いた。
 おそらく着陸時と離陸時の速度の違いのせいだろう。鳥が翼を大きく広げて空から地上にふわりと舞い降りるときのように、飛行機も着陸時にはスピードを落としながら滑走路にアプローチする。離陸時にはそれとは反対に、エンジンを全開にし、フルパワーで加速しなければならない。

 機体重量や風速などフライトの条件にもよるが、航空機が離陸するときの速度は時速三五〇キロにもなり、着陸時とは一〇〇キロ近く違う。その分、緊張が高まるからだろう。
 それは何度経験しても同じだ。
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