結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
 環だった。これから出勤なのか、それとも退勤なのか、エレガントなワンピースの私服姿だ。


「お疲れ様」


 挨拶だけ交わしてオフィスのドアを開けようとしたが、彼女に遮られる。


「津城さん、このあと今日はどんなご予定ですか?」


 肩が触れ合うほど近づいてきたため、それとなく距離を取る。なぜ彼女にスケジュールを話さなければならないのかと、つい眉根が寄った。


「もしもフリーでしたらランチをご一緒しませんか? 私、このあとオフなんです」


 環が一般的に美しいとされる顔立ちをしているのはわかるが、全身から漂う度を越した自信が優成は苦手である。〝私の誘いに乗らない男はいない〟と自負しているのが見え見えだ。


「たとえフリーでもキミと食事をするつもりはない」


 未完成の夫婦である優成と史花ではそれらしい雰囲気が足りないのだろうが、悪びれもせず妻帯者を誘う神経を疑いたくなる。なによりも嫌悪を覚えるのはその点である。いったいどういうつもりなのか。
< 194 / 294 >

この作品をシェア

pagetop