結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
 一度ならず二度までも史花をちゃんづけし、ふざけながら煽る。
 挑発に乗るのは愚かだと思いつつ、言われたままではいられなかった。


「残念だが、そんなことをさせるつもりはない」


 左手で引き寄せた史花の前に立ちはだかり、白石を睨みつける。どうしてこんなにも熱くなるのか。

(嘘だろ。まさか俺は――)

信じられない感情が沸々と湧いてくる。いや、違うと否定すればするほど反発するように大きくなり、優成の制止も聞かずに胸の奥からせり上がってきた。


「史花は俺だけのものだ」


 そう口にしてはっきりと自覚する。

(俺は史花が好きなんだ)

 遠慮のない白石にことごとく苛立ったのは、そういうわけだったのか。
 妙に納得するいっぽうで、初めて抱く感情に狼狽える。恋心は認めるが、それをどう扱ったらいいのかわからない。

 三十路をとっくに過ぎた男が、なんて無様なのか。


「だってさ」
< 198 / 294 >

この作品をシェア

pagetop