結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
「……よかった。似合ってないかもって思ったので」
「すぐに言葉が出なかっただけだ。……綺麗だよ」


 どことなく照れの滲む言い方が心からの言葉に思えてうれしい。彼からそんな褒め言葉をもらえるとは思ってもいなかった。


「うれしい。ありがとうございます」


 ありったけの笑顔で返してすぐ、優成は史花の手を取った。
 いきなりのことに驚いているうちに玄関を出て歩きだす。史花の心臓はさっきからずっと早鐘だ。


「車じゃないんですか?」


 優成の足は、地下駐車場ではなく一階のエントランスに向かっていた。外出はたいてい彼の車だ。


「今日はタクシーで行こう」
「そうなんですね」


 どちらにしても優成とのデートがうれしいのは変わらない。
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