結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
 窓の外には小さいながらも庭があり、青々とした木々や涼しげな白い花を咲かせるクチナシが見える。窓辺に配されたテーブルに優成と向かい合って座った。


「アペリティフはなににいたしましょうか」
「シャンパンをお願いします」
「かしこまりました」


 恭しく、でも決して嫌味ではない立ち居振る舞いで店員が去る。


「料理は俺のほうで事前に頼んであるけど、なにかリクエストがあれば」
「いえ、特にありません。注文をしてくださって助かります。こういうお店に来るのは初めてなので」


 正直に打ち明けた。いくらカッコつけたところでボロはすぐに出るから、プライドなんてないほうがいい。


「今まで恋人は?」
「大学生のときに一度だけいましたけど、学生同士だったのでファミレスやファストフードでしたから」


 学食で食べるほうが多かったかもしれない。今思えば、恋人らしいデートもした記憶がない。深い関係にもならず、一カ月で別れた相手を元彼と呼んでいいのかさえ怪しいものだ。
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