結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
優成が訝しげに聞き返す。大学時代に彼氏がいたはずだと言いたげだ。


「大学のときに付き合った人とはキス止まりだったので……。すみません、こんな歳になって処女なんて」


 面倒と思われたかもしれない。言わなければよかったと後悔していると、優成はなぜか破顔した。


「なんだ、そうだったのか。俺は必要のない嫉妬をしてたんだな」
「……嫉妬? 優成さんが?」
「ああ。自分から聞いたくせに、史花の元彼の話にイラついた」


 そう言って優成は眉根を寄せるが、どことなくうれしそうに見えるのは目が笑っているからだ。


「それなら私もです。小早川さんと仲良く話しているのを見て……」
「仲良く? とんでもない。一方的に言い寄られて困っていたが、この前はっきり突っぱねたからもう平気だ。俺はキミ以外じゃダメなんだ。自分でも信
じられないくらいに史花が好きでたまらない」


 信じられない言葉の羅列だった。
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