結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
「だから史花の初めてを俺がもらえると知って、今、無性にうれしい」
「私も、初めてが優成さんでよかった」


 大学時代に振られたのは、優成との出会いが待っていたからに違いない。
 優成との結婚は必然。出会うのも恋に落ちるのも、きっと決まっていた。

 運命の恋に仕立てたいほど、ドラマティックな展開に酔う。


「史花」


 名前を呼び、優成が額にキスを落とす。見つめる視線は色欲に色塗られ、胸を焦がすほどに熱い。
 これから自分がどうなるのか想像がつかず、急に不安に襲われる。


「あの……」
「どうした?」
「手順がわからなくて」


 円満な夫婦になる方法は調べたくせに、肝心なことをリサーチし損ねてしまった。
 どういう行為が行われるのかは大まかに知っていても、具体的な動作がわからない。


「手順?」
「私はなにをしたらいいですか?」
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