結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
アンフェアな重大インシデントを乗り越えて
優成と本物の夫婦になってから十日が経った。
三カ月前とは考えられないほど縮まった距離は、付き合いたてのカップルを通り越し、まさに新婚夫婦。それまでとは打って変わり、ふたりの時間を大切に過ごしている。
仕事のほうは航空業界にとって年末年始と並ぶ繁忙期のお盆が過ぎ、増便に対応するために一秒たりとも気を抜けない日々がようやく終わった。
お盆明けの今日、史花は久しぶりにフラワーアレンジメント教室でレッスンを受け、喜乃と反省会も兼ねたお茶会へやって来た。
いつものカフェにふたりで入店すると、見知った顔が窓際のテーブルで手を上げる。
「あら! 優成じゃないの。いったいどうしたの?」
優成は立ち上がり、驚く喜乃に椅子を引いた。
「優成さんが、『女子会に俺もまぜて』って」
「まぁ、そうなの」
喜乃は少し戸惑いつつ、首を傾げながら腰を下ろす。〝あの素っ気なかった優成が?〟とでも言いたそうだ。
「おばあちゃんにも会いたかったしね」
「うれしいことを言ってくれるわ」