結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?

 喜乃とカフェでお茶をした翌々日、史花はコントロールセンターでいつものようにパソコンのモニターに囲まれていた。

 航空機にとって悪天現象である活発な対流雲域――暖かい空気が上昇し、冷たい空気が下降することで起こる現象――が北関東に予想されているため、フライトプラン作成に留意しなければならない。飛行前の航空機にはあらかじめ迂回ルートを設定するとともに、飛行中の航空機にはルートの変更を要請した。

 気づけば昼休みの時刻。ちょうどひと段落したため、休憩に行こうと席を立つ。


「未希ちゃん、そろそろお昼に行かない?」


 隣のデスクでべつのディスパッチャーの支援業務をしていた未希に声をかけた。


「あ、はい……でも、私はもう少し進めておきたいので」


 ちらっと史花を見て、未希はすぐにモニターに目線を戻す。心なしか肩を小さくビクンと弾ませたように見えた。


「そう……。それじゃ、先に行ってきます」
< 246 / 294 >

この作品をシェア

pagetop