結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
 そんな優成が、たくさんの視線を連れて歩いてくる。史花のテーブルで彼が足を止めると、それらの視線が今度は史花に移った。

 〝え? あの女性と待ち合わせ?〟
 〝なんか釣り合ってないんだけど〟

 そんな心の声が聞こえてきそうでハラハラする。
 なにしろ史花は今日も、アイボリーのブラウスにブラウンのワイドパンツという地味コーデ。そのうえヘアスタイルも仕事中と変わらず一本縛りである。
 優成のように内面から輝きを放つような女性なら、きっとそんなスタイルでも様になるのだろうけれど。

 (でも、これがありのままの私だものね)

 決して卑屈になっているわけではない。


 「待たせたね」
 「いえ、私も少し前に着いたばかりです」


 向かいの椅子に座った優成が「注文は?」と尋ねる。


 「まだしていません」
 「コーヒー? 紅茶? それともなにかほかのもの?」
 「ではアイスコーヒーでお願いします」


 優成は水を運んできた店員にふたり分のアイスコーヒーを注文した。
< 48 / 294 >

この作品をシェア

pagetop