結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?
その夜、史花は仕事から帰った母、琴子に「話があるの」と声をかけた。
「あら、神妙な顔をしてなにかしら」
指摘され、急いで口角を持ち上げ取り繕う。緊張が表情に出てしまったみたいだ。
食卓には夕食の準備が整っているが、食べる前に話しておきたい。
ダイニングチェアに座った琴子と夕食を挟んで向かい合う。
「じつは結婚したい人がいるの」
史花が打ち明けると、琴子は目を固く閉じ、またすぐに開いた。半開きにした口からも、驚いているのが手に取るようにわかる。
「……今、結婚って言ったの?」
「うん。結婚します」
「ちょっと待って。少し前にお付き合いしている人はいないって」
琴子の反応は無理もない。事実、そのときには恋人などいなかったのだから。
かといって、包み隠さず交際〇日婚とは言えない。彼氏ができない以上に母を心配させるに決まっているからだ。