結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?

 それからゴールデンウィーク明けに婚姻届を区役所に提出するまで、めまぐるしく時間が過ぎていく。

 優成は史花の母への挨拶を済ませ、喜乃にもふたり揃って会った。そのときの喜乃の喜びようといったらない。『このまま天に召されても思い残すことはないわ』などと言うから、『速まらないで』と説得するのに大変だった。

 優成は父親とは疎遠で、母親は新しい家庭があるためメールで報告して終わり。琴子と喜乃のふたりに証人欄へのサインをもらった足で、区役所へ婚姻届を出した。

 結婚は勢いが必要だと、以前なにかの雑誌の対談で読んだことがあるが、まさか自分がそれを実践することになるとは……。

 そもそも勢いとはいえ、一般的には交際を経て結婚に至るパターンが多いだろう。史花たちは恋人の期間がまさしく〇日。手も繋いだことすらない。
 計画的に物事を進めるタイプの史花が、人生最大の分岐点である結婚をさらっと決めてしまった。それも相手は、男女問わず絶大な人気を誇るパイロット。仕事で関わりがあるとはいえ、私生活では接点を持てないような相手だ。

(私って意外と大胆だったのね)

 真面目一辺倒な自分の新たな一面を見つけた気分でもある。史花の乗った〝飛行機〟は、視界不良のテイクオフを試みたのだった。
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