結婚不適合なふたりが夫婦になったら――女嫌いパイロットが鉄壁妻に激甘に!?

その夜、ドアが開く音を聞きつけ、史花は玄関に急いで向かった。もちろん優成を出迎えるためである。
帰宅時間がわからなかったため、普段こもっている自室ではなくリビングで彼の帰りを待ち構えていた。

(飼い主を待つ犬みたいね)

 そんなことを考えながらスリッパの音を響かせ、靴を脱いだばかりの彼の前に立つ。


「お、おかえりなさい」


 もちろん笑顔もつけた。頬がかすかに引きつっているように感じるため自然とまではいかないけれど、いつもの真顔ではない。
リサーチしたばかりの〝夫婦仲がよくなる妻の行動〟のもっとも重要事項として書かれていた〝自然な笑顔〟を早速、実行に移したのだ。

 史花がいきなり現れて驚いたのか、それとも初めての出迎えに困惑しているのか、優成は一瞬目を見開いてから訝しむように細くした。


「……ただいま」


 彼の薄い反応を見て躊躇したが、ここで引いてはリサーチの意味がない。目を泳がせながらも笑顔を絶やさず続ける。
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