愛亀に溺愛されてます!?
2話
額に誰かの手が乗っているのを感じて、私は目を覚ました。
すぐに視界に入ってきたのは…超近距離のカメ太郎(人間)だった。
思わず私はもう一度布団に逃げこんだ。
カメ太郎がいなくなるのを待ったけど、中々いなくなってくれない。
はやくいなくなってよ!!
私は心の中で叫びながら、まだドクドク鳴っている鼓動を落ち着けようとしていた。
顔の熱が冷めてくると、布団にいる私は再び眠くねってきた。
もう夢に入る……というところで、布団が剥がされた。
一気に冷気が体に当たり、私は震えた。
「ちょ…、寒いんですけど!!」
カメ太郎の呆れる声が聞こえた。
「起きないからでしょ。」
「だからって…せめて言いなさいよ!大体ねー…」
その後もぐちぐち言っていると、突然カメ太郎に腕を引っ張られた。
「なにすんのよ!?」
私は叫んだが、カメ太郎に引っ張れれたまま、ズルズルと床に降ろされた。
「…起きないからだよ。」
囁くようにカメ太郎は言ったが、私にはきちんと聞こえた。
「だからって、強引すぎるでしょ!」
カメ太郎がニヤッと笑う。
「時計見てごらん?」
は?と言いつつも、私は時計を見た。
針が「7:50」分と示していた。
私は目を見開いた。
(ちょ、ちょっと待って…8時までに行かなきゃなのに、何この時間…!?)
カメ太郎の声が聞こえる。「ね?強引にするわけでしょ。」
「そんなのんびり言ってる場合じゃないわよ!」私は怒鳴るように言った。
急いで制服に着替え、今度は私がカメ太郎を引っ張った。
リビングに着くと、眉間にしわを寄せているお母さんがいた。
「アンタ…今何時だと思って…」
「はいはい、分かってますよお!」
急いで手と顔を洗い、リビングに戻った。
食パンを頬張り、水をゴクゴク飲む。
あっという間に食べおわり、急いで歯みがきをして、休憩する間もなく家を出た。
足を走らせる。「あー、今日めざましかけ忘れたからか。最悪ー!」
と叫んでから、「いや、いつも遅刻してんじゃん?」とつぶやいた。
教室に着いても、特に騒がれなかった。
(うわあ…みんなもう私が遅刻するもんだと思ってるのかな…)
つくえに頬杖をついて朝のホームルームが始まるのを待った。
しばらくしてチャイムが鳴り、先生が黒板前に立った。
「みなさん、今日はお知らせがあります。」
一気に教室がザワつく。私も興味を持った。
(なんだろう?)
「はーい、静かに!」
そう言って先生が手をパンッと叩いても、騒ぎは収まらなかった。
先生は諦めたのか、騒がしい中で話をつづけた。
「このクラスに転校生が来ます。」
さらに教室が騒がしくなる。
「女の子かな?男の子かな?」
「こんな時期に珍しいね。」
「どんな子だろー!」
女子も男子も盛り上がっていた。私も1人でドキドキしていた。
「じゃ、入ってきてください。どうぞ。」
先生が言うと、ドアが開いた。
そして、出てきたのはーー。
私は目を見開いた。
だって、現れたのはーー…カメ太郎だったのだ!
「はあ!?」
思わず私は声を上げてしまった。
となりの席の女子にめざとく聞かれた。
「えっあの子と知り合い?」
「え、う、うんまあ…」
しどろもどりに答えた。
女の子が言う。「いいなあー、あんなイケメンと知り合いだなんて…」
私は聞きのがさなかった。カメ太郎のことを、イケメンと言ったのを。
カメ太郎がイケメン…?いやいや。
私は首を無意識に横に振り、黒板の前に立つカメ太郎を見た。
「初めて!僕、はじめって言います。」
カメ太郎がにっこりして言うと、クラスの子が「はじめくんか!」「はじめ!」「はじめちゃんね。」と言っていた。
「席は、そうねえ…」先生が教室を見渡す。
私は先生の目の行方を追った。
(どこにカメ太郎がいることになるのか…できれば遠くがいいんだけど。)
でもそんな願いは虚しく…先生の目が私の右の席に止まった。
「明希さんのとなりでいいかしら?」
そんな…!遠くがよかったのに、よりにもよってとなりだなんて!
カメ太郎の微笑みが大きくなった。「だいじょうぶです。」
先生が「よかったわ。じゃあ、明希ちゃん、カメ太郎くんをよろしくね。」と私を見て言った。
女子たちの不満の声が聞こえた。男子の私をからかう声も聞こえる。
私はため息をついた。
(学校でも一緒だなんて…私はカメ太郎と離れられない運命かなんかなの…?)
黒板を離れたカメ太郎が、こちらに向かってくる。
近くを通ったカメ太郎に、キャーキャー言う女子が何人かいた。
私はすこしモヤッとした。カメ太郎は、私のなのに。
カメ太郎が私のとなりへ来ると、こちらをとびっきりの笑顔で
「よろしくね。」
と言ってきた。
「ああ…うん。」
私はそっけなくするつもりはなかったが、そっけなくしてしまった。
休み時間になると、カメ太郎の周りにはたくさんの女子がやってきた。
「カメ太郎くんてえ、好きな子いるの〜?」
と女子が聞いた時には、思わず聞き耳を立ててしまった。
「えー、うーん…明希ちゃんかな?」
カメ太郎の答えに、私は心臓が飛びでそうだった。
(え、私!?いや、飼い主としてって意味でしょ…)
女子たちの不満そうな声が聞こえる。
「なんでー?地味じゃん。」
「ねー、可愛くないもん。」
「ウチらの方が可愛いし。」
「あの子は釣り合わないよ。」
なんで、私の話になるんだろう……
私は泣きたくなった。
自分が可愛くないことくらい、分かっていたはずなのに。言われると、傷つくものだな。
たしかに、カメ太郎がもしイケメンだとしたら、私が釣り合うはずない。
女の子たちが言っていることは正しい。正論だ。
「そんなことないけど?」
初めて聞くカメ太郎の声に、私はドキッとした。
女の子たちがたじろいでいる。
「明希ちゃんは、可愛いけど?地味じゃないよ。明るいし、元気で見てて飽きないよ。人の悪口を言う君たちとちがって優しいし。」
女の子たちと同様で、私が唖然としていた。
カメ太郎がこんなこと言うなんて…
私の堪えていた涙が吹きだした。
嬉しい。カメ太郎にあんな風に思ってもらえていたなんて…
女の子たちは怒ったようにカメ太郎から離れていった。
カメ太郎が私の方に来た。
「バカな子たちだね、ホント。人間の女の子ってあんななの?明希ちゃんみたいだと思ってたのに。」
ちょっとふてくされて言うカメ太郎に、思わず吹きだしてしまった。
「ふふ、あはは。あんなって。カメ太郎っておもしろいね。」
思わず私がそう言うと、カメ太郎は嬉しそうだった。
「そんなことないよ、いい子だっている。」
私が断言すると、カメ太郎が
「明希ちゃんがいるもんね。」
と言ったので、恥ずかしいながらも頷いた。
チャイムが鳴り、休み時間がおわった。
カメ太郎が席に戻り、私も授業の準備をした。
あっという間に帰る時間になり、私はカメ太郎と帰ろうと思ったのだが…
案の定女子に囲まれていたので、諦めた。
女子たちを割り切っていく勇気はない。
友だちは先に帰ってしまったので、私は仕方なく1人で帰った。
学校を出て、坂を下っていると、うしろから足音が聞こえた。
無視して歩いていると、突然肩に手を置かれたので、驚いて私は立ち止まってしまった。
振り向くと、息を切らしたカメ太郎がいた。
私は驚いた。「カメ太郎?なんで…」
カメ太郎がニッと笑った。
「頑張って女の子たちを断って追いかけてきたんだよ。すごいでしょ。」
「うん。…ありがとう。」
私は素直に伝えた。今なら言える気がする。
「実は…私もカメ太郎と帰ろうと思ってた。」
カメ太郎を見ると、にこおっとしていた。
「それはよかった。」
あっという間に家に着くと、私とカメ太郎は洗面所で手と顔を洗い、部屋に行った。
「今日、楽しかった?」
気になっていたことを聞くと、カメ太郎は笑って
「楽しかったよ!」
と言った。
「それはよかった。」
さっきのカメ太郎と同じことを言うと、カメ太郎は嬉しそうに
「これからもよろしくね。」
と言った。
「ハイハイ。」
私はそう言ったけど、内心嬉しかった。
すぐに視界に入ってきたのは…超近距離のカメ太郎(人間)だった。
思わず私はもう一度布団に逃げこんだ。
カメ太郎がいなくなるのを待ったけど、中々いなくなってくれない。
はやくいなくなってよ!!
私は心の中で叫びながら、まだドクドク鳴っている鼓動を落ち着けようとしていた。
顔の熱が冷めてくると、布団にいる私は再び眠くねってきた。
もう夢に入る……というところで、布団が剥がされた。
一気に冷気が体に当たり、私は震えた。
「ちょ…、寒いんですけど!!」
カメ太郎の呆れる声が聞こえた。
「起きないからでしょ。」
「だからって…せめて言いなさいよ!大体ねー…」
その後もぐちぐち言っていると、突然カメ太郎に腕を引っ張られた。
「なにすんのよ!?」
私は叫んだが、カメ太郎に引っ張れれたまま、ズルズルと床に降ろされた。
「…起きないからだよ。」
囁くようにカメ太郎は言ったが、私にはきちんと聞こえた。
「だからって、強引すぎるでしょ!」
カメ太郎がニヤッと笑う。
「時計見てごらん?」
は?と言いつつも、私は時計を見た。
針が「7:50」分と示していた。
私は目を見開いた。
(ちょ、ちょっと待って…8時までに行かなきゃなのに、何この時間…!?)
カメ太郎の声が聞こえる。「ね?強引にするわけでしょ。」
「そんなのんびり言ってる場合じゃないわよ!」私は怒鳴るように言った。
急いで制服に着替え、今度は私がカメ太郎を引っ張った。
リビングに着くと、眉間にしわを寄せているお母さんがいた。
「アンタ…今何時だと思って…」
「はいはい、分かってますよお!」
急いで手と顔を洗い、リビングに戻った。
食パンを頬張り、水をゴクゴク飲む。
あっという間に食べおわり、急いで歯みがきをして、休憩する間もなく家を出た。
足を走らせる。「あー、今日めざましかけ忘れたからか。最悪ー!」
と叫んでから、「いや、いつも遅刻してんじゃん?」とつぶやいた。
教室に着いても、特に騒がれなかった。
(うわあ…みんなもう私が遅刻するもんだと思ってるのかな…)
つくえに頬杖をついて朝のホームルームが始まるのを待った。
しばらくしてチャイムが鳴り、先生が黒板前に立った。
「みなさん、今日はお知らせがあります。」
一気に教室がザワつく。私も興味を持った。
(なんだろう?)
「はーい、静かに!」
そう言って先生が手をパンッと叩いても、騒ぎは収まらなかった。
先生は諦めたのか、騒がしい中で話をつづけた。
「このクラスに転校生が来ます。」
さらに教室が騒がしくなる。
「女の子かな?男の子かな?」
「こんな時期に珍しいね。」
「どんな子だろー!」
女子も男子も盛り上がっていた。私も1人でドキドキしていた。
「じゃ、入ってきてください。どうぞ。」
先生が言うと、ドアが開いた。
そして、出てきたのはーー。
私は目を見開いた。
だって、現れたのはーー…カメ太郎だったのだ!
「はあ!?」
思わず私は声を上げてしまった。
となりの席の女子にめざとく聞かれた。
「えっあの子と知り合い?」
「え、う、うんまあ…」
しどろもどりに答えた。
女の子が言う。「いいなあー、あんなイケメンと知り合いだなんて…」
私は聞きのがさなかった。カメ太郎のことを、イケメンと言ったのを。
カメ太郎がイケメン…?いやいや。
私は首を無意識に横に振り、黒板の前に立つカメ太郎を見た。
「初めて!僕、はじめって言います。」
カメ太郎がにっこりして言うと、クラスの子が「はじめくんか!」「はじめ!」「はじめちゃんね。」と言っていた。
「席は、そうねえ…」先生が教室を見渡す。
私は先生の目の行方を追った。
(どこにカメ太郎がいることになるのか…できれば遠くがいいんだけど。)
でもそんな願いは虚しく…先生の目が私の右の席に止まった。
「明希さんのとなりでいいかしら?」
そんな…!遠くがよかったのに、よりにもよってとなりだなんて!
カメ太郎の微笑みが大きくなった。「だいじょうぶです。」
先生が「よかったわ。じゃあ、明希ちゃん、カメ太郎くんをよろしくね。」と私を見て言った。
女子たちの不満の声が聞こえた。男子の私をからかう声も聞こえる。
私はため息をついた。
(学校でも一緒だなんて…私はカメ太郎と離れられない運命かなんかなの…?)
黒板を離れたカメ太郎が、こちらに向かってくる。
近くを通ったカメ太郎に、キャーキャー言う女子が何人かいた。
私はすこしモヤッとした。カメ太郎は、私のなのに。
カメ太郎が私のとなりへ来ると、こちらをとびっきりの笑顔で
「よろしくね。」
と言ってきた。
「ああ…うん。」
私はそっけなくするつもりはなかったが、そっけなくしてしまった。
休み時間になると、カメ太郎の周りにはたくさんの女子がやってきた。
「カメ太郎くんてえ、好きな子いるの〜?」
と女子が聞いた時には、思わず聞き耳を立ててしまった。
「えー、うーん…明希ちゃんかな?」
カメ太郎の答えに、私は心臓が飛びでそうだった。
(え、私!?いや、飼い主としてって意味でしょ…)
女子たちの不満そうな声が聞こえる。
「なんでー?地味じゃん。」
「ねー、可愛くないもん。」
「ウチらの方が可愛いし。」
「あの子は釣り合わないよ。」
なんで、私の話になるんだろう……
私は泣きたくなった。
自分が可愛くないことくらい、分かっていたはずなのに。言われると、傷つくものだな。
たしかに、カメ太郎がもしイケメンだとしたら、私が釣り合うはずない。
女の子たちが言っていることは正しい。正論だ。
「そんなことないけど?」
初めて聞くカメ太郎の声に、私はドキッとした。
女の子たちがたじろいでいる。
「明希ちゃんは、可愛いけど?地味じゃないよ。明るいし、元気で見てて飽きないよ。人の悪口を言う君たちとちがって優しいし。」
女の子たちと同様で、私が唖然としていた。
カメ太郎がこんなこと言うなんて…
私の堪えていた涙が吹きだした。
嬉しい。カメ太郎にあんな風に思ってもらえていたなんて…
女の子たちは怒ったようにカメ太郎から離れていった。
カメ太郎が私の方に来た。
「バカな子たちだね、ホント。人間の女の子ってあんななの?明希ちゃんみたいだと思ってたのに。」
ちょっとふてくされて言うカメ太郎に、思わず吹きだしてしまった。
「ふふ、あはは。あんなって。カメ太郎っておもしろいね。」
思わず私がそう言うと、カメ太郎は嬉しそうだった。
「そんなことないよ、いい子だっている。」
私が断言すると、カメ太郎が
「明希ちゃんがいるもんね。」
と言ったので、恥ずかしいながらも頷いた。
チャイムが鳴り、休み時間がおわった。
カメ太郎が席に戻り、私も授業の準備をした。
あっという間に帰る時間になり、私はカメ太郎と帰ろうと思ったのだが…
案の定女子に囲まれていたので、諦めた。
女子たちを割り切っていく勇気はない。
友だちは先に帰ってしまったので、私は仕方なく1人で帰った。
学校を出て、坂を下っていると、うしろから足音が聞こえた。
無視して歩いていると、突然肩に手を置かれたので、驚いて私は立ち止まってしまった。
振り向くと、息を切らしたカメ太郎がいた。
私は驚いた。「カメ太郎?なんで…」
カメ太郎がニッと笑った。
「頑張って女の子たちを断って追いかけてきたんだよ。すごいでしょ。」
「うん。…ありがとう。」
私は素直に伝えた。今なら言える気がする。
「実は…私もカメ太郎と帰ろうと思ってた。」
カメ太郎を見ると、にこおっとしていた。
「それはよかった。」
あっという間に家に着くと、私とカメ太郎は洗面所で手と顔を洗い、部屋に行った。
「今日、楽しかった?」
気になっていたことを聞くと、カメ太郎は笑って
「楽しかったよ!」
と言った。
「それはよかった。」
さっきのカメ太郎と同じことを言うと、カメ太郎は嬉しそうに
「これからもよろしくね。」
と言った。
「ハイハイ。」
私はそう言ったけど、内心嬉しかった。