愛亀に溺愛されてます!?

4話


今日はいとこの明暗ちゃんが来ることになっていた。
カメ太郎には親戚のフリをしてもらう。
「えー、彼氏じゃなくていいの?」
なんてニヤニヤしながら言っていたが、即座に断った。
チャイムが鳴った。
お迎えに行くと、
「おっ久ー!元気だった?」
明るく明暗ちゃんが言った。
明暗ちゃんと会うのは小学生ぶりだ。もう中学生なんだな…としみじみ思った。
「うん。明暗ちゃんも?」
「うん!」
明暗ちゃんは2度頷いた。
部屋に行くとカメ太郎がいた。
明暗ちゃんは目を見開いていた。ムリもない。
大きな目を見開いたまま、明暗ちゃんが聞いてきた。
「あの子は誰?」
「親戚の子で預かってるの。」
「親戚にあんな子いたっけ?」
カメ太郎をジロジロ見ている明暗ちゃんを止めた。
「もういいじゃん。ね?」
私が言うと明暗ちゃんは、疑いながらも
私はほっとした。カメ太郎もみたいだった。
まずは明暗ちゃんとゲームをして遊ぶことにした。
テレビにゲーム機をつなぎ、コントローラーを持つ。
画面にはパーティーゲームの『ゆるパーティー』が映っていた。
カメ太郎も参加することになった。
テレビの前で私含め3人で座っている。
キャラクターを選ぶ場面で、私はなそでい、明暗ちゃんはなるほど、カメ太郎はピエロを選んだ。

1時間ほど経ち、ゲームが終了した。
結果的には明暗ちゃんが1位、私が2位、最下位がカメ太郎だった。
「初めてだし仕方ないよ。」と私が慰めたが、カメ太郎の気分はよくならないみたいだった。
カメ太郎は頬を膨らませてこう言った。「明希ちゃんにカッコイイところ見せたかったのに…」
私は思わず笑って言った。「いつもカッコイイよ?」
すぐに私はハッとした。これは告白みたいなものだ。
カメ太郎の顔が輝く。「本当?」
「うそ、うそ。」私は顔を赤くしながら手を左右に振った。「慰めただけだから。」
「ふーん?」カメ太郎はニヤニヤと笑っている。
「仲良いんだね。」
明暗ちゃんがそう言った時、ドアがノックされた。
私がドアを開くと、お母さんだった。手におぼんを持っている。
お母さんが部屋に入ってくると、つくえにおぼんを置いた。
おぼんの中にはおかしが入っていた。
おぼんを覗いた明暗ちゃんとカメ太郎の顔が輝く。
それぞれに好きなおかしを取った。
お母さんが部屋を出ていくと、明暗ちゃんがおかしを頬張りながら言った。
「ねえ、知ってる?」
「うん?」
私はスティック羊羹を食べていた。
「最近ね、動物が人間化してるらしいよ。」
明暗ちゃんが今日寒いらしいよ、のテンションで言う。
思わず私は羊羹を喉に詰まらせるところだった。急いで水を飲む。
「それって…本当?」
「本当。見てこれ。」
明暗ちゃんがどこからか出したスマホには、写真が映っていた。
右にうさぎの写真、となりに人間の写真。
信じられずにいれなかった。
「だからね、」明暗ちゃんがカメ太郎を見る。
「君もそうなのかなって。」
「え!?」
私の大声が部屋に響いた。
明暗ちゃんはそんな私を無視し、どこかに視線をやった。私が追いかけると、明暗ちゃんは水槽を見ていた。
「いないじゃん、ペットのカメ太郎。」
それからカメ太郎を見る。
「そうだよね?カメ太郎が人間化したんでしょ?」
カメ太郎は落ち着かなさそうにモゾモゾしていた。
「そうだよ。」私が白状すると、明暗ちゃんは当たって嬉しそうな顔をしていた。
「でもよく知ってるね?私知らなかったよ。」
「うん。うちの猫がそうなったのよ。」
今度もサラッと言う。
「え?」
「ちょっと前だけど。今度会う?」
私はすこし考えた。けど答えは出なかった。
「考えとくね。」
曖昧に笑って言うと、明暗ちゃんがはーいと返事した。
そのあとはすぐにお昼になり、3人でリビングへ行った。久しぶりにうちのごはんを食べた明暗ちゃんは、とても懐かしがっていたし喜んでいた。
私も明暗ちゃんと食べるのが久しぶりで、懐かしい気持ちだった。
すぐに帰る時間になり、私は玄関で明暗ちゃんを見送っていた。
「また来るから。じゃあね!」
明るげに明暗ちゃんはそう言うと、明暗ちゃんのお母さんと外にいなくなった。
「また来るからって来ないフラグ?」
カメ太郎の言葉を無視して、私は2階へ行った。

部屋に戻ってきた私は、さっそくおやつの時明暗ちゃんが言っていた、動物の人間化について調べてみた。するとすぐにいくつものニュースや画像が出てきた。
始まったのはここ最近らしい。
でももう1年前からあったらしく、私は驚いた。





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