あなたが運命の番ですか?
「あっ……、うっ……」
水瀬に身体を揺さぶられながら、僕の胸は張り裂けそうなくらいに痛む。
早く終わってほしい――。僕はそう思いながら、ギュッと目をつむる。
こんなにも胸は痛くて苦しいのに、身体は快楽ばかりを拾ってしまう。
気持ちとは正反対の反応を示すこの身体が、心底嫌になる。
身体が反応してしまうのは、相手がアルファだから?それとも、僕が淫売なオメガだから?
「なあ……」
水瀬は不意に、僕の耳元に口を寄せる。
「これ、外せよ」
水瀬はそう囁きながら、僕の首元のチョーカーに手を添えてきた。
「――は?」
僕は頭が真っ白になった。
こいつ、今僕に「オメガチョーカーを外せ」って言った?
「い、嫌だ……」
僕は水瀬の言葉の意味を理解した途端、恐怖と嫌悪感で涙が溢れた。
歪んだ視界の中に、ぼやけた星宮さんの姿が映る。
――橘先輩のことも、アタシは優しい人だと思います。
星宮さん――。
「何だよ、『未成年が番になってはいけない』っていう法律を気にしてるのか?大丈夫だよ、どうせバレやしないって」
水瀬はヘラヘラと笑う。
そんな水瀬の態度を見て、僕は身体の内がカァッと熱くなった。
「嫌だ!お前なんかと番になりたくない!!!」
僕は首をブンブンと横に振り、チョーカーに触れている水瀬の手を、両手で引き離そうとする。
僕が必死に抵抗する姿を見た水瀬は、困惑の表情を浮かべる。
「何でだよ……」
すると、水瀬は顔を引き攣らせ、声を震わせる。
「俺の親父のこと、お前も知ってるだろ?総合病院の院長で……、俺はその後を継ぐんだぞ。俺の番になったら贅沢な暮らしができるし、毎晩こうやって俺が可愛がってやるのに……」
水瀬は乾いた笑いを浮かべる。
「嫌だ!離せよ!」
僕は水瀬の言葉に耳を貸さず、拒絶を続ける。
「何でだよ、お前らオメガは金とセックスが好きなんだろ!?だったら、何で俺の番にならないんだよ!!?」
水瀬は焦点の合わない目で僕を見下ろしながら、怒鳴り声を上げる。
「俺の親父さぁ、結婚しないくせに番とガキは何人も作って、マンションだけ買い与えて放置するようなクソ野郎なんだよ……。俺だってガキの頃は、お袋と2人暮らしで親父の顔すら知らなかったんだぜ?それなのに、俺がアルファだと分かった途端『跡取りにするから引き取る』なんて言い出しやがった……。それを聞いたお袋、どうしたと思う?」
水瀬は早口で捲し立てるように話す。
「『はい、そうですか』って、親父から手切れ金を受け取ったら、俺をさっさと捨てやがった!あのクソアマ!俺をまるで邪魔者みたいな目で見やがって!!」
水瀬は怒りと憎しみで顔を歪め、僕のことを睨む。
僕を睨むその目は、まるで自分を捨てた母親への憎悪が籠っているように見える。
「橘、お前だって金持ちと番になって良い暮らしがしたいんだろ?俺を産んで捨てた、あのクソオメガと同じように……。俺がその願いを叶えてやるよ。だから、この首輪を外せよ!!!」
水瀬は僕の手首を乱暴に掴むと、その手をチョーカーに近づけさせ、無理やり指紋認証で外させようとする。
しかし、僕はグッと手の平に爪が食い込むほどの強い力で握り拳を作り、必死に抵抗する。
「お前と番になるくらいだったら、ここで舌を噛み切って死んでやる!!!」
僕は水瀬を睨みつけながら、精一杯叫ぶ。
すると、途端に僕の手首を掴んでいる水瀬の手から力が抜けた。
「もういいや、萎えた」
水瀬は冷たく吐き捨てると、僕の身体を放し、自分のズボンを上げながら立ち上がった。
水瀬の突然の変わりように、僕は困惑する。
水瀬は、僕に拒絶されてショックを受けたのか?いや、まさかそんなわけ――。
「分かったよ、もうお前とは関わらねぇから。好きにしろ」
意気消沈した様子の水瀬は、そう言い残すと廊下へと出て行った。
水瀬が出て行った後、僕はしばらくの間、放心状態で床にうずくまっていた。
そして、徐々に身体の至る所がズキズキと痛み始め、また涙が溢れる。
「うぅ……」
僕は背中を丸め、自分の膝を抱えながら泣き続けた。
水瀬に「チョーカーを外せ」と言われた時、僕は本気で恐怖を感じた。
今までは何となく、水瀬との関係がズルズルと続いて、将来は水瀬の番になるのだと思っていたし、それでもいいやと思っていた。
だけど、本当に水瀬の番にされると分かった途端、無意識のうちに身体が拒絶した。
それと同時に、僕は気づいた。
僕は、――星宮さんの番になりたかったのだ。
水瀬に身体を揺さぶられながら、僕の胸は張り裂けそうなくらいに痛む。
早く終わってほしい――。僕はそう思いながら、ギュッと目をつむる。
こんなにも胸は痛くて苦しいのに、身体は快楽ばかりを拾ってしまう。
気持ちとは正反対の反応を示すこの身体が、心底嫌になる。
身体が反応してしまうのは、相手がアルファだから?それとも、僕が淫売なオメガだから?
「なあ……」
水瀬は不意に、僕の耳元に口を寄せる。
「これ、外せよ」
水瀬はそう囁きながら、僕の首元のチョーカーに手を添えてきた。
「――は?」
僕は頭が真っ白になった。
こいつ、今僕に「オメガチョーカーを外せ」って言った?
「い、嫌だ……」
僕は水瀬の言葉の意味を理解した途端、恐怖と嫌悪感で涙が溢れた。
歪んだ視界の中に、ぼやけた星宮さんの姿が映る。
――橘先輩のことも、アタシは優しい人だと思います。
星宮さん――。
「何だよ、『未成年が番になってはいけない』っていう法律を気にしてるのか?大丈夫だよ、どうせバレやしないって」
水瀬はヘラヘラと笑う。
そんな水瀬の態度を見て、僕は身体の内がカァッと熱くなった。
「嫌だ!お前なんかと番になりたくない!!!」
僕は首をブンブンと横に振り、チョーカーに触れている水瀬の手を、両手で引き離そうとする。
僕が必死に抵抗する姿を見た水瀬は、困惑の表情を浮かべる。
「何でだよ……」
すると、水瀬は顔を引き攣らせ、声を震わせる。
「俺の親父のこと、お前も知ってるだろ?総合病院の院長で……、俺はその後を継ぐんだぞ。俺の番になったら贅沢な暮らしができるし、毎晩こうやって俺が可愛がってやるのに……」
水瀬は乾いた笑いを浮かべる。
「嫌だ!離せよ!」
僕は水瀬の言葉に耳を貸さず、拒絶を続ける。
「何でだよ、お前らオメガは金とセックスが好きなんだろ!?だったら、何で俺の番にならないんだよ!!?」
水瀬は焦点の合わない目で僕を見下ろしながら、怒鳴り声を上げる。
「俺の親父さぁ、結婚しないくせに番とガキは何人も作って、マンションだけ買い与えて放置するようなクソ野郎なんだよ……。俺だってガキの頃は、お袋と2人暮らしで親父の顔すら知らなかったんだぜ?それなのに、俺がアルファだと分かった途端『跡取りにするから引き取る』なんて言い出しやがった……。それを聞いたお袋、どうしたと思う?」
水瀬は早口で捲し立てるように話す。
「『はい、そうですか』って、親父から手切れ金を受け取ったら、俺をさっさと捨てやがった!あのクソアマ!俺をまるで邪魔者みたいな目で見やがって!!」
水瀬は怒りと憎しみで顔を歪め、僕のことを睨む。
僕を睨むその目は、まるで自分を捨てた母親への憎悪が籠っているように見える。
「橘、お前だって金持ちと番になって良い暮らしがしたいんだろ?俺を産んで捨てた、あのクソオメガと同じように……。俺がその願いを叶えてやるよ。だから、この首輪を外せよ!!!」
水瀬は僕の手首を乱暴に掴むと、その手をチョーカーに近づけさせ、無理やり指紋認証で外させようとする。
しかし、僕はグッと手の平に爪が食い込むほどの強い力で握り拳を作り、必死に抵抗する。
「お前と番になるくらいだったら、ここで舌を噛み切って死んでやる!!!」
僕は水瀬を睨みつけながら、精一杯叫ぶ。
すると、途端に僕の手首を掴んでいる水瀬の手から力が抜けた。
「もういいや、萎えた」
水瀬は冷たく吐き捨てると、僕の身体を放し、自分のズボンを上げながら立ち上がった。
水瀬の突然の変わりように、僕は困惑する。
水瀬は、僕に拒絶されてショックを受けたのか?いや、まさかそんなわけ――。
「分かったよ、もうお前とは関わらねぇから。好きにしろ」
意気消沈した様子の水瀬は、そう言い残すと廊下へと出て行った。
水瀬が出て行った後、僕はしばらくの間、放心状態で床にうずくまっていた。
そして、徐々に身体の至る所がズキズキと痛み始め、また涙が溢れる。
「うぅ……」
僕は背中を丸め、自分の膝を抱えながら泣き続けた。
水瀬に「チョーカーを外せ」と言われた時、僕は本気で恐怖を感じた。
今までは何となく、水瀬との関係がズルズルと続いて、将来は水瀬の番になるのだと思っていたし、それでもいいやと思っていた。
だけど、本当に水瀬の番にされると分かった途端、無意識のうちに身体が拒絶した。
それと同時に、僕は気づいた。
僕は、――星宮さんの番になりたかったのだ。