あなたが運命の番ですか？

「いい家族だね」
「ふふっ、うん、まあね」
「お母さん、綺麗な人だね」
「あぁ、なんか大学時代にミスコンで準グランプリに選ばれたことがあるんだってさ」
「へぇ、どうりで……。真琴はお母さん似なんだね」
「えぇー。もしかして、遠回しにアタシのこと『綺麗』って言ってる？」
「ふふっ、どうだろうねぇ？」
　
　千尋くんは向かう道中の険しい表情から打って変わって、晴れやかな表情をしている。
　千尋くんに「いい家族だね」と言われて、改めて考えると、アタシは家族に恵まれていると思う。
「結婚を認めるのは、真琴がちゃんと自立できてから」と言ったのは、アタシだけでなく、千尋くんのことを想っての発言だろう。

「アタシ、絶対ちゃんと自立した大人になるね。千尋くんと番になりたいから……」
　アタシは両親から言われた言葉を反芻しながら呟く。
「うん、僕も、ちゃんとした大人になれるように頑張るよ」
　千尋くんは嬉しそうに呟いた。
　
「うん、一緒に頑張ろう」
　アタシは、千尋くんと繋いでいる手に、ギュッと力を込めた。