あなたが運命の番ですか?
「寿々ちゃん、大丈夫?うなじから血が出てる……。早く手当てを――」
 私は勢いよく起き上がると、心配そうにしている優一郎くんを押し倒した。
「えっ!?」
 私が馬乗りになって優一郎くんを見下ろすと、彼は目を丸くさせながら私を見上げる。優一郎くんの口の端には、少し血が付いていた。
「寿々ちゃん?どうし――、んっ!?」
 私は優一郎くんに口付ける。困惑したように震える優一郎くんの唇を無理やり開かせて、舌をねじ込む。すると、少しだけ鉄の味がした。

 優一郎くん、優一郎くん――。
 私は優一郎くんに覆い被さりながら、彼の唇を貪る。
 離れたくない。優一郎くんとずっとくっついていたい。優一郎くんが、欲しい――。

 私は優一郎くんの下腹部に手を伸ばし、まだ勃ち上がっている彼のモノに触れる。先ほどまで着けていた避妊具は、もう捨ててしまったようだ。
 そして、私は腰を浮かせて、優一郎くんのモノを私の入り口にあてがおうとした。
「んっ――、寿々ちゃ……、待って、待って」
 優一郎くんは私の両肩を掴んで、私を制止させる。
 私は優一郎くんと唇が離れると、そのまま彼を見下ろした。
 優一郎くんは顔を真っ赤にして額に汗を滲ませ、欲望を堪えるように歯を食いしばっている。

「新しいゴム、着けなきゃ……」
 優一郎くんは、いそいそと私の下から這い出る。
 その様子を見た私は、優一郎くんがどこかへ行ってしまうのではないかという恐怖を覚えた。
 
「やだっ、待って!」
「わっ――!?」
 私は優一郎くんにしがみつく。
 
「どこにも行かないで……」
 私が縋り付くと、優一郎くんは困ったような顔をする。そして、優一郎くんは私を抱きしめると、子供をあやすように私の背中を摩った。
「どこにも行かないよ。大丈夫だから」
 優一郎くんは私を抱きしめたまま、サイドテーブルに手を伸ばし、避妊具の入った箱を漁る。

「ほら、俺の上に乗って」
 私は言われるがまま、優一郎くんと向き合う状態で彼の両太ももの上に跨った。そして、ゆっくりと腰を落とす。
「あっ……、あぁ……」
 優一郎くんを飲み込んでいくたびに、私の身体にジワジワと快感が広がっていく。
 優一郎くんが、私のナカに――。

 私は優一郎くんの肩口に、顔を埋める。
 すると、優一郎くんの甘いフェロモンの匂いが鼻孔をくすぐった。
 私は優一郎くんのフェロモンの匂いに包まれ、思わず恍惚とする。

 私が快楽に浸っていると、突然優一郎くんが下から勢いよく突き上げてきた。
「あ゛――ッ!?」
 目の前で火花が散った。

「寿々ちゃん、これ好きだよね?こうやってギュッてしながら、されるの……」
 優一郎くんは私を抱きしめながら、何度も奥を突き上げる。そのたびに、私の身体に電流が走った。
「う……、んんっ……、すき、ぃ……」
 私は優一郎くんにしがみつきながら、絶えず与えられ続ける快楽に溺れる。
 
「あぁ、寿々ちゃん……。やっと、俺の……、俺だけの……」
 優一郎くんは心底愛おしそうに、私の胸元と首筋に頬ずりする。
「はぁ……、寿々ちゃん、いい匂い……」
 優一郎くんは私の首筋に鼻を擦り付けながら、スンスンと匂いを嗅ぐ。そして、彼の息遣いは徐々に「ふぅー、ふぅー」と腹を空かせた獣のような吐息へと変わっていった。

「だめだ……、おれ、もう……」
 荒い息遣いの優一郎くんは、突然ガシッと私の腰を力強く掴むと、欲望のままに私の身体を揺さぶり始めた。

 私は全身を駆け巡る鋭い快感に、思わず身体を仰け反らせる。
 私の奥に優一郎くんのモノがぶつかるたびに、私は身体中に電流が走り、目の前がチカチカと点滅した。
 
「すずちゃん……、きもちいいの……?」
「うん……、きもち、ぃ……」
「ははっ、かわいいね、すずちゃん……」
 優一郎くんは額に汗を滲ませながら、薄く笑みを浮かべて私を見つめる。
 私はその視線がむず痒くて、再び彼の肩口に顔を埋めた。
 そんな私に対して、優一郎くんは「甘えん坊だね」と嬉しそうに呟く。
 
「んっ……、はっ、ぁ……、すず、ちゃ……、あまい……」
 優一郎くんは何度も腰を突き上げているうちに、やがて肩や首筋に舌を這わせ始めた。そして、時折肌を強く吸い上げたり、軽く噛み付いたりを繰り返す。
 片手で私の乳房を鷲掴みにして揉みしだき、乳首を吸い上げたり、舌先でこねくり回したりもする。
 いつもとは違う乱暴な優一郎くんの行為。少しだけ痛い――。だけど、今の私にはそれが気持ちいいと感じる。

「ゆ、いちろぉ、くん……」
「すずちゃん……、すきだよ……」
 私たちは強く抱きしめ合いながら、激しく互いの唇を貪り合う。
 甘くて濃厚な優一郎くんのフェロモンの香りが、私を絶頂へと導く。

 優一郎くん、私の番――。
 私は、優一郎くんだけの物――。
 これで、私はずっと優一郎くんと一緒にいられる。

「あっ、ぁ……、だめ……、も、イ――」
「ん゛んっ――」
 私たちは互いをきつく抱きしめ合いながら、一緒に果てた。
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