あなたが運命の番ですか?
「ごめんね、乱暴にしちゃって……。身体、大丈夫?」
優一郎くんは私の身体を見つめながら、叱られた子供のように肩をすぼめる。
私の肩や首筋、胸元には、キスマークと薄い噛み痕がいくつも残っていた。
「大丈夫。今日は、何だか私も興奮してたし……」
私は、はにかんだ。
優一郎くんが私の身体に痕を残すなんて、初めてのことだ。
今までこういった行為をする時は、いつも優一郎くんは私のことを気にかけてくれる。しかし、今日は少し乱暴で、本能のままに私を抱いているようだった。
おそらく、優一郎くんにうなじを噛まれた後、私はヒートに近い状態となっていたのだと思う。だから、その時の発情フェロモンによって、優一郎くんはああなったのだろう。
だけど、私は嬉しかった。
私はあの時、ヒートの時のような身体の疼きと火照りを感じた。そして、優一郎くんに激しく求められたいと思った。
優一郎くんは、そんな私の望みを叶えてくれたのだ。
いつもとは違う優一郎くんの乱暴な愛情を注がれて、私は気が狂いそうなほどの快楽を得た。
「そ、そっか……」
優一郎くんは、少しホッとしたように呟く。
「うなじ、ちょっと血が出てるね。とりあえず、止血を――」
「あっ、待って」
私は、ベッドから降りようとする優一郎くんを制止させる。
「鏡……」
私はベッドから降りると、床に落ちていた優一郎くんの水色のシャツを裸体の上に羽織った。
優一郎くんのシャツからは、彼の匂いが漂っている。
私は優一郎くんの匂いを身に纏いながらリビングへと向かうと、自分のバッグの中からコンパクトミラーを取り出して、寝室へ戻った。
そして、事前にお祝いとしてお義母さんたちから贈られたドレッサーの前に、私は座る。
私はドレッサーの鏡とコンパクトミラーを合わせ鏡の状態にして、自分のうなじを見た。
私のうなじには、赤い歯型がくっきりと付いている。
「どうしたの?」
優一郎くんは腰を屈めて、私を後ろから抱きしめる。
鏡の中の優一郎くんと、私は目が合った。
「本当に私たち、番になったんだなって確かめたくて……。私の勘違いなんかじゃなくて、本当に番になれてるんだって……」
不安を抱く私の言葉に対して、優一郎くんは私を安心させるように優しく微笑んだ。
「勘違いなんかじゃないよ。俺たちは番になったんだ」
優一郎くんは、私の頬に口付けた。
「んっ……、優一郎くん止めて。また、シたくなっちゃうから……」
行為が終わった今でも、少しだけ身体が火照っているように感じる。こうして優しく抱きしめられ、頬に口付けられただけで、私は身体が疼きそうになるのだ。
「ふふっ、確かに、俺もヤバそう……。でも、今シたら、また寿々ちゃんを傷だらけにしちゃいそうだから……。今は我慢するね」
優一郎くんは、頬を赤らめる。
「ねぇ、優一郎くん……。私、優一郎くんの赤ちゃんが欲しい」
「えぇっ――!?」
鏡の中の優一郎くんは、大きく目を見開いた。
「きゅ、急にどうしたの?」
「なんかね、今すっごく子供を産みたいなって思うの。今まで、こんなこと思ったことなかったのに……。なんでだろ……。番になったからかな?」
子供を持つことへの漠然とした憧れ自体は、私にもあった。
しかし、ここまでハッキリと「子供を産みたい」「優一郎くんとの赤ちゃんが欲しい」と熱望したことはない。
これは、番になったことによる影響だろうか。
やはり、オメガや番の本質は、「繁殖」なのかもしれない。
鏡越しに、優一郎は私を見つめながら、困ったように笑う。
「俺も、寿々ちゃんとの子供が欲しいよ。でも……、それは俺が大学を卒業するまで待ってほしい」
優一郎くんは、真剣な眼差しを向ける。
「うん、大丈夫。それは私も分かってるから」
本音を言うと、今すぐ子供が欲しい。だけど、今の私たちにはそれが難しいことであると、私はちゃんと理解できる。
「ありがとう……。俺、立派な大人になるから。立派な大人になって、寿々ちゃんと子供たちを必ず幸せにするから……。今は、その準備期間だと思って、待っていてほしい」
優一郎くんの真剣で、淀みのない言葉。
そんな真面目な優一郎くんの言葉だから、私は信じることができる。
「うん、楽しみに待ってる」
きっと私たちの未来は、幸福に包まれている。そう信じることができた。
優一郎くんは私の身体を見つめながら、叱られた子供のように肩をすぼめる。
私の肩や首筋、胸元には、キスマークと薄い噛み痕がいくつも残っていた。
「大丈夫。今日は、何だか私も興奮してたし……」
私は、はにかんだ。
優一郎くんが私の身体に痕を残すなんて、初めてのことだ。
今までこういった行為をする時は、いつも優一郎くんは私のことを気にかけてくれる。しかし、今日は少し乱暴で、本能のままに私を抱いているようだった。
おそらく、優一郎くんにうなじを噛まれた後、私はヒートに近い状態となっていたのだと思う。だから、その時の発情フェロモンによって、優一郎くんはああなったのだろう。
だけど、私は嬉しかった。
私はあの時、ヒートの時のような身体の疼きと火照りを感じた。そして、優一郎くんに激しく求められたいと思った。
優一郎くんは、そんな私の望みを叶えてくれたのだ。
いつもとは違う優一郎くんの乱暴な愛情を注がれて、私は気が狂いそうなほどの快楽を得た。
「そ、そっか……」
優一郎くんは、少しホッとしたように呟く。
「うなじ、ちょっと血が出てるね。とりあえず、止血を――」
「あっ、待って」
私は、ベッドから降りようとする優一郎くんを制止させる。
「鏡……」
私はベッドから降りると、床に落ちていた優一郎くんの水色のシャツを裸体の上に羽織った。
優一郎くんのシャツからは、彼の匂いが漂っている。
私は優一郎くんの匂いを身に纏いながらリビングへと向かうと、自分のバッグの中からコンパクトミラーを取り出して、寝室へ戻った。
そして、事前にお祝いとしてお義母さんたちから贈られたドレッサーの前に、私は座る。
私はドレッサーの鏡とコンパクトミラーを合わせ鏡の状態にして、自分のうなじを見た。
私のうなじには、赤い歯型がくっきりと付いている。
「どうしたの?」
優一郎くんは腰を屈めて、私を後ろから抱きしめる。
鏡の中の優一郎くんと、私は目が合った。
「本当に私たち、番になったんだなって確かめたくて……。私の勘違いなんかじゃなくて、本当に番になれてるんだって……」
不安を抱く私の言葉に対して、優一郎くんは私を安心させるように優しく微笑んだ。
「勘違いなんかじゃないよ。俺たちは番になったんだ」
優一郎くんは、私の頬に口付けた。
「んっ……、優一郎くん止めて。また、シたくなっちゃうから……」
行為が終わった今でも、少しだけ身体が火照っているように感じる。こうして優しく抱きしめられ、頬に口付けられただけで、私は身体が疼きそうになるのだ。
「ふふっ、確かに、俺もヤバそう……。でも、今シたら、また寿々ちゃんを傷だらけにしちゃいそうだから……。今は我慢するね」
優一郎くんは、頬を赤らめる。
「ねぇ、優一郎くん……。私、優一郎くんの赤ちゃんが欲しい」
「えぇっ――!?」
鏡の中の優一郎くんは、大きく目を見開いた。
「きゅ、急にどうしたの?」
「なんかね、今すっごく子供を産みたいなって思うの。今まで、こんなこと思ったことなかったのに……。なんでだろ……。番になったからかな?」
子供を持つことへの漠然とした憧れ自体は、私にもあった。
しかし、ここまでハッキリと「子供を産みたい」「優一郎くんとの赤ちゃんが欲しい」と熱望したことはない。
これは、番になったことによる影響だろうか。
やはり、オメガや番の本質は、「繁殖」なのかもしれない。
鏡越しに、優一郎は私を見つめながら、困ったように笑う。
「俺も、寿々ちゃんとの子供が欲しいよ。でも……、それは俺が大学を卒業するまで待ってほしい」
優一郎くんは、真剣な眼差しを向ける。
「うん、大丈夫。それは私も分かってるから」
本音を言うと、今すぐ子供が欲しい。だけど、今の私たちにはそれが難しいことであると、私はちゃんと理解できる。
「ありがとう……。俺、立派な大人になるから。立派な大人になって、寿々ちゃんと子供たちを必ず幸せにするから……。今は、その準備期間だと思って、待っていてほしい」
優一郎くんの真剣で、淀みのない言葉。
そんな真面目な優一郎くんの言葉だから、私は信じることができる。
「うん、楽しみに待ってる」
きっと私たちの未来は、幸福に包まれている。そう信じることができた。