あなたが運命の番ですか?
「あっ……、出ちゃった……」
 アタシはゆっくりと自身を引き抜く。
「んんっ……」
 千尋くんは枕に顔を埋めたまま、身体を跳ねさせる。

 アタシは気怠さを我慢しながら、使用済みの避妊具を捨てる。
 その後、しばらくの間、頭がボーッとしていた。
 そして、頭が再び覚醒すると、部屋中に充満している千尋くんのフェロモンに気づく。それは、まるでヒートの発情フェロモンに近い香りだった。

「うっ……、ちひろ、くん……」
 フェロモンのせいで頭がクラクラとし、アタシの身体は再び熱を帯び始めていた。
 目の前には、顔を枕に埋め、物欲しげに腰をユラユラとさせている千尋くんの姿がある。
 まるで誘っているような千尋くんの姿に、アタシはすぐにでも飛びつきたかった。しかし、彼のうなじに滲んでいるアタシの噛み痕を見て、その欲望をグッと堪える。

「千尋くん、大丈夫?」
 アタシは千尋くんの身体を抱き起そうと、彼に手を伸ばす。
 すると、千尋くんはガシッとアタシの手を掴んだ。

「まこと、ぉ……」
 千尋くんは悩まし気な顔をこちらに向ける。
()れ、てぇ……」
 甘ったるい声で強請る千尋くんに、アタシは思わず息を呑んだ。
「千尋くん……」
 アタシの鼻腔に、千尋くんの甘いフェロモンの香りが広がる。

「おねがい……、真琴の、ほしい……」
 その瞬間、アタシの脳はフェロモンによって蝕まれた。

 アタシは千尋くんの両肩を掴んで無理やり仰向けにさせ、両太ももを持ち上げる。
 挿入する寸前で、アタシは何とか理性が勝ち、枕元に置いた避妊具の箱に手を伸ばした。

「はやくぅ……」
 腰を揺らしながら急かす千尋くんに、アタシは苛立ちを覚える。
「ちょ、煽らないで……」

 無事に避妊具を着け終わり、アタシは千尋くんの後孔にいきり立った自身をあてがう。
 そして、アタシはお望み通り、千尋くんの奥まで、思いっきり突き立てた。
 
「あ゛――ッ!?」
 奥を突いた瞬間、千尋くんは大きく身体を仰け反らせながら、ナカで達した。
 
 ぎゅうぎゅうとナカを締め付けながら痙攣する千尋くんに構わず、アタシは彼の腰を掴んで激しく抜き差しを繰り返す。
「あぁッ!?だめっ、だめ……」
 下品な声を上げながら、千尋くんは何度も後ろを締め付ける。

「あおった、ちひろくんが、わるいんだよ……?」
 アタシは欲望のままに腰を打ち付ける。
 
「イッても止めてあげない……」
 千尋くんは身体を震わせながら、何度もナカで達する。
 しかし、アタシは容赦なく千尋くんの奥を突き続けた。
 
「あぁっ――」
 千尋くんはアタシが奥を突くたびに、アタシのモノを締め付けながら絶頂を繰り返す。
 千尋くんの顔は、涙と涎と鼻水でグチャグチャだ。

「ごめ、ごめんなさい……、も……、ゆるし、て、ぇ……」
 千尋くんは泣きじゃくりながら、半透明の白濁を放った。
 泣きながら許しを請い、情けなく欲望を吐き出した千尋くんの姿が、アタシの内に秘められた加虐心を煽る。

「ちひろくん……。謝りながらイッちゃうなんて……、えっちな人……」
「ごめ、なさい……、えっちなオメガで……、ごめんなさい……」
 うわ言のように「ごめんなさい」と繰り返しながら、千尋くんは嬉しそうにナカをきゅうきゅうと締め付ける。
「ふふっ……、アタシは、えっちな千尋くんがすきだよ……?」
 アタシが耳元で囁くと、千尋くんは分かりやすくぎゅうっと締め付けた。

「む、り……、こわ、れる……」
「はぁ……っ、いいよ……。こわれたって、アタシは千尋くんが好きだよ……」
 アタシはだらしなく垂れた千尋くんの舌に、アタシの舌を絡め、吸い上げた。

「ん゛んん――」

 アタシは千尋くんの産声を飲み込みながら、絶頂を迎えた。
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