* Snow gift *
 12月23日、午後8時12分。



 夕飯を終え、風呂も入り、いつもなら観たいテレビ番組も今日は興味が湧かず、

「はぁ……」

 オレは電気を消した部屋で、ベッドの上に寝転がっていた。

「うぅ……」

 右へごろり。

「あぁ……」

 左へごろり。

「んむぅぅぅ……」

 そして天井を見上げて携帯を閉じたり開いたり。

 そんなことを延々繰り返す。

 どうしてオレはこんなにも臆病なんだろう。

 いや、正確には“大事なところで”がつく。

 普段はあれだけアプローチかけれるのに、いざってなると足がすくんじまう。

 これじゃなんのために頑張ってたのか、我ながら馬鹿馬鹿しくなってくる。

 そんなオレに必要なのはたぶん。


 きっかけ。


 そんな大それたことじゃなくていい。

 何かのきっかけさあれば……。

「って、そんなもん、そうそうないよなぁ」

 ときおり窓をガタつかせる冬の風。

 なんだか今日はやけに底冷えするな。

 こういう日は星が良く見えると何かでいってた気がする。

 今日は雲のない快晴だったからたぶん特に良く見えるはずだ。

「窓はさすがに、開けらんないなぁ……さむっ」

 カーテンを開けると、窓との間に押し込められていた冷気がするり、と滑り落ちてきた。

 オレはたまらず暖房をつけ、ついでとばかりに台所へ降りると電気ポットに水をたっぷり入れると、マグカップとココアを棚から探し当てて再び部屋に戻った。

 
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