※修正予定あり【ぺちゃんこ地味系OLだけど水曜日の夜はびしょぬれ〜イケおじの溺愛がとまらない!?〜】
つながる心
初体験の挿入によって処女膜が裂ける桃瀬は、ポロポロと泣きだした。性交以外の理由で処女膜が破れる要因は多くあるが、桃瀬の場合、石和とのセックスで物理的な痛みをともなって裂け、いままでに経験したことがない性的刺激に、どうしても涙がこぼれてしまう。悲しいわけではなく、一時的な症状ではあるが出血も生じており、精神的につらかった。
「理乃ちゃん、どうか泣かないで。もっと力を抜くんだ」
分泌液により体内領域はうるおっていたが、痛みを感じる桃瀬は、石和と気息をあわせることができず、ひとりで錯乱する。
「はぁっ、はぁっ! ……あぅっ!!」
「あせらないで、ゆっくり息をするんだ」
「ぜぇっ、はぁっ、……石和さん……、い、痛い……、いたいのぉ……」
躰じゅうに力がはいってしまう桃瀬は、快感よりも苦痛を強く感じた。
「はぁっ、はぁっ!」
「理乃ちゃん、わかったよ。もう痛いことはしない」
困惑する桃瀬を気づかい中断する石和は、ふだんから持ち歩くファースト・エイドのガーゼとミニボトルの薬品を使い、傷口を消毒した。
「……んっ、……そこ……は、さわらないでぇ……」
「心配ない。手当てをしているだけだよ」
「……うぅ~!」
「だいじょうぶ。もう血は止まっているからね。ぼくのせいで痛くしてごめんよ」
双方で絶頂に至らずとも、ついに処女を喪失した桃瀬は、セックスが気持ちいいものだとは思えなかった。しかし、石和の本領はまだ充分に発揮されていない。
「……ごめんなさい、わたし、また面倒をかけてしまって……」
「まったく問題ないよ。きみは、確実にステップアップしている。ぼくを受けいれようと、がんばっているじゃないか」
手当てを終えた石和は、やさしく桃瀬の髪を撫でる。汗ばむ額に張りつく前髪を左右へわけると、そっと、キスをした。性行為の余韻に浸ることもできない桃瀬は、恥ずかしさと情けなさで胸が苦しくなった。
「……疲れたよね。このまま少し横になるといい。おちつたらシャワーを浴びておいで。ぼくは向こうのベッドを使うから、手足をのばして楽にしていなさい」
石和は、桃瀬の躰に掛け布団をあてがうと、慰安のなごりをトイレの水に流しにいく。五分でシャワーをすませ、ホテルのバスローブ姿でもどってくると、ペチコートやレースをあしらったワンピースを拾い集め、頭から布団をかぶる桃瀬の足もとへ置いた。ホテルまできておきながら、石和を失望させたかもしれない。桃瀬は、じぶんの弱さを呪った。
反対側のベッドへ腰をおろす石和は、生理的欲求を苦心して鎮めたが、「バージンは面倒くさい」という圷のことばを打ち消した。
「面倒だなんて、思うわけがない。……そんなこと思ってないよ。ぼくは、きみを大事にする。これからも仲良くしてね、理乃ちゃん」
初体験で泣かせてしまった石和は、桃瀬の具合を気にかけつつ、ルームサービスを利用してブランデーのボトルをかたむけた。……真夜中になり、ごそごそとベッドを抜けだしてシャワーを浴びる桃瀬は、申しわけない気持ちのまま、ぐったりとして落ちこんだ。
「……わたしのバカ、……ばかぁ」
受け身として避けられない現実に耐性のない桃瀬だが、あいかわらず感度は良好だ。とはいえ、本当は股を大きくひろげる体位だけでも恥ずかしくてたまらない桃瀬は、早くも次のベッドインが課題となる。
「……もうぜんぶ見られてるのに、なんで、こんなに恥ずかしいんだろう。……胸がぺちゃんこだから? そんなの、石和さんだってわかってる。それでも、わたしを好きになってくれたのに……」
✦つづく