ツレナイ彼×ツヨガリ彼女
こういうところだ。
自分には理解できない。

慶介はいつだってそう思いながら理香子を見ている。誰よりも今彼女の方が仕事を抱えている。
自分のように自分に関係のない業務はきれいに切り捨てていない彼女。
誰かのミスも自分のことのように反省して、誰よりも挽回するためにミスした本人以上に背負う。
自分の業務だって手を抜かず、むしろもっと手抜きしていい部分にまで全力だ。

クライアントの要望を最低限に聞けば仕事はできる。
でも彼女は違う。
ある程度カタチになった自分の仕事だって、現場へ行き経過をみながらどんどんと訂正したり新しく出る要望に応えようと手を抜かない。
それは完成した後もそうだった。

仕事をすればするほど、アフターフォローだって量を増していくのに、彼女はいつだって手を抜かない。
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