幼なじみは私の秘密の吸血鬼【マンガシナリオ】
第十二話 『ツガイ』
〇休み時間、廊下
姫花(あの時はなんとなくうやむやにしちゃったけど……)
姫花(私、ホントは……)
姫花(アルトが他の人を『ツガイ』にするの、嫌だった……!?)
考え込む姫花
その様子を眺めている狩夜
姫花(他の人を『ツガイ』にするのが嫌、って……)
姫花(別に『ツガイ』じゃなくなったって幼なじみって関係は変わらないわけで……)
姫花(それでも他の人が『ツガイ』になるのが嫌って……それって……)
姫花(私、アルトのこと……)
狩夜「鷹山さん」
ハッとなる姫花
狩夜「鷹山さんは無理矢理『ツガイ』にさせられたわけじゃないの?」
姫花「無理矢理なんて……! 私の意思で『ツガイ』に……」
姫花(でも……あの時は『ツガイ』なんて関係を知らずに血をあげちゃったんだ)
黙り込む姫花を見て、ため息を吐く狩夜
狩夜「まあ……鷹山さんたちの関係にそこまで踏み込むつもりはないけど……」
姫花「……わかってる」
狩夜「ん?」
姫花「狩夜くんは私のこと心配してくれてるんでしょう?」
思惑を読まれていて、いささか驚きを見せる狩夜
狩夜「……なんでか、鷹山さんのことが放っておけないんだよね」
姫花「へ?」
狩夜「ゲームでよく一緒に遊ぶ人と似てるから」
姫花「狩夜くん、ゲームするんだ!? 意外~」
狩夜「するよ、ゲームぐらい」
姫花に驚かれ、笑う狩夜
姫花(狩夜くんが心配するのは、私が自分の気持ちをハッキリさせてないからだ)
姫花(『ツガイ』って関係も、幼なじみって関係も無しに、私は……)
姫花(私はアルトのこと……)
アルト「………」
少し離れたところから、姫花と狩夜の姿を見ているアルト
二人が楽しそうで嫉妬の感情を浮かべる
〇午後、化学室
アルトのクラス(1-A)、化学の授業で実験中
机の上にはビーカーやフラスコ、アルコールランプなどが並んでいる
教科書を読んでいる先生
アルト、不貞腐れた様子で実験の様子を見ている
アルト(なんだよ姫花のやつ。なんだかんだあの狩夜って奴と仲良さそうにしやがって)
アルト(……一体、何喋ってたんだ?)
アルト(くそっ。気になる)
夢乃「アルトくーん」
アルト「あ?」
夢乃「ちゃんと色変わってるか見ててよー?」
アルト「はいはい」
アルコールランプの上に乗ったビーカーの水の色を眺めながら、頬杖をつくアルト
アルト(俺……やっぱり姫花のことが好きだ)
アルト(でもあいつ、俺のこと幼なじみとしか見てねぇし……)
アルト(あー、ちくしょう! こんな時にヴァンパイアハンターだのわけわかんない奴がやって来るしよぉ!)
頭を抱えるアルト
そこで不意に異臭に気付く
アルト(あ……? これ、ガス漏れ……?)
アルト「おい!」
夢乃「え?」
ボンッと音を立ててアルコールランプが火を噴く
夢乃を庇うアルト
夢乃「アルトくん!」
〇休み時間、姫花の教室(1-C)
姫花、自分の席でぼんやりとアルトのことを考えている
そこに駆け足でやって来るみちる
みちる「ちょっと姫花!」
姫花「えっ!? な、なに……?」
みちる「来栖くんのこと聞いた!?」
姫花「あ、アルトがどうしたの……?」
みちる「化学の授業でアルコールランプが爆発したらしくて、それで……」
みちるが言い終わる前に立ちあがり、教室を出て行く姫花
姫花(嘘でしょ……アルト!)
〇休み時間、保健室
姫花「アルト!」
勢いよく保健室の扉を開ける姫花
そこには泣きじゃくる夢乃となだめているアルトの姿が
夢乃、姫花の方を見て席を立ち、保健室を後にする
アルト「………」
姫花「……あ、アルト……大丈夫なの?」
アルト「ああ。……と、言いたいところだけど」
姫花「えっ?」
ベッドに仰向けに倒れるアルト
慌てる姫花
アルト「アルコールランプが爆発するって思った瞬間、吸血鬼の力を使ってアイツのこと守ったから、マジ疲れた……」
姫花「アイツって愛牧さん?」
アルト「ああ。ビーカーとか割れて、危うく顔に傷が残るところだった。良かった守れて」
姫花「うん……」
心配と嫉妬の混じった表情の姫花
ゆっくりとアルトに近付く
姫花「アルト……」
アルト「ん?」
姫花「吸血鬼の力、使ってヘトヘトなんでしょ?」
アルト「あー、まあな。貧血みたいな感じだ」
姫花「だったら……」
ワイシャツのボタンを外し、鎖骨まで露わにする姫花
目を見開くアルト
姫花「血、飲んでよ」
アルト「それは……」
姫花「私、アルトの『ツガイ』だよ? こんな時こそ役に立ちたい」
アルト「姫花……」
ごくり、と喉を鳴らすアルト
二人、ゆっくりと近付く
姫花の肩に吸い付くアルト
姫花「んっ……」
しばらく沈黙が続く
ゴクゴクと姫花の血を飲むアルト
アルト、そっと姫花から離れる
アルト「……平気か?」
姫花「うん……アルトは?」
アルト「すげー元気」
ニッと笑うアルト
安心する姫花
そのままアルトに抱きつく
アルト「うおっ!?」
姫花「………」
アルト「ど、どうした……?」
姫花「心配、した……っ」
アルト「あー……」
ポンポンと姫花の背中を優しく叩くアルト
姫花、半泣きのまま体を離す
姫花「ねえアルト」
アルト「ん?」
姫花「アルト、前に言ってたよね。恋人ができたら『ツガイ』を上書きする、って」
アルト「……ああ」
姫花、真っ直ぐアルトを見る
姫花「アルトもいつか……誰かを『ツガイ』にするの?」
アルト「………」
姫花「………」
アルト「姫花が『ツガイ』を嫌だって言うならそうするよ」
姫花「嫌じゃないよ……っ!」
ハッキリと言い放った姫かに驚くアルト
姫花「嫌じゃない……。むしろ……」
姫花「アルトが他の人を『ツガイ』にする方が嫌だ」
アルト「……!」
しばらく見つめ合う二人
両者とも顔が赤い
アルト「それって、幼なじみとして? それとも……」
アルトの問いに、口を開き、答えようとする姫花
姫花(あの時はなんとなくうやむやにしちゃったけど……)
姫花(私、ホントは……)
姫花(アルトが他の人を『ツガイ』にするの、嫌だった……!?)
考え込む姫花
その様子を眺めている狩夜
姫花(他の人を『ツガイ』にするのが嫌、って……)
姫花(別に『ツガイ』じゃなくなったって幼なじみって関係は変わらないわけで……)
姫花(それでも他の人が『ツガイ』になるのが嫌って……それって……)
姫花(私、アルトのこと……)
狩夜「鷹山さん」
ハッとなる姫花
狩夜「鷹山さんは無理矢理『ツガイ』にさせられたわけじゃないの?」
姫花「無理矢理なんて……! 私の意思で『ツガイ』に……」
姫花(でも……あの時は『ツガイ』なんて関係を知らずに血をあげちゃったんだ)
黙り込む姫花を見て、ため息を吐く狩夜
狩夜「まあ……鷹山さんたちの関係にそこまで踏み込むつもりはないけど……」
姫花「……わかってる」
狩夜「ん?」
姫花「狩夜くんは私のこと心配してくれてるんでしょう?」
思惑を読まれていて、いささか驚きを見せる狩夜
狩夜「……なんでか、鷹山さんのことが放っておけないんだよね」
姫花「へ?」
狩夜「ゲームでよく一緒に遊ぶ人と似てるから」
姫花「狩夜くん、ゲームするんだ!? 意外~」
狩夜「するよ、ゲームぐらい」
姫花に驚かれ、笑う狩夜
姫花(狩夜くんが心配するのは、私が自分の気持ちをハッキリさせてないからだ)
姫花(『ツガイ』って関係も、幼なじみって関係も無しに、私は……)
姫花(私はアルトのこと……)
アルト「………」
少し離れたところから、姫花と狩夜の姿を見ているアルト
二人が楽しそうで嫉妬の感情を浮かべる
〇午後、化学室
アルトのクラス(1-A)、化学の授業で実験中
机の上にはビーカーやフラスコ、アルコールランプなどが並んでいる
教科書を読んでいる先生
アルト、不貞腐れた様子で実験の様子を見ている
アルト(なんだよ姫花のやつ。なんだかんだあの狩夜って奴と仲良さそうにしやがって)
アルト(……一体、何喋ってたんだ?)
アルト(くそっ。気になる)
夢乃「アルトくーん」
アルト「あ?」
夢乃「ちゃんと色変わってるか見ててよー?」
アルト「はいはい」
アルコールランプの上に乗ったビーカーの水の色を眺めながら、頬杖をつくアルト
アルト(俺……やっぱり姫花のことが好きだ)
アルト(でもあいつ、俺のこと幼なじみとしか見てねぇし……)
アルト(あー、ちくしょう! こんな時にヴァンパイアハンターだのわけわかんない奴がやって来るしよぉ!)
頭を抱えるアルト
そこで不意に異臭に気付く
アルト(あ……? これ、ガス漏れ……?)
アルト「おい!」
夢乃「え?」
ボンッと音を立ててアルコールランプが火を噴く
夢乃を庇うアルト
夢乃「アルトくん!」
〇休み時間、姫花の教室(1-C)
姫花、自分の席でぼんやりとアルトのことを考えている
そこに駆け足でやって来るみちる
みちる「ちょっと姫花!」
姫花「えっ!? な、なに……?」
みちる「来栖くんのこと聞いた!?」
姫花「あ、アルトがどうしたの……?」
みちる「化学の授業でアルコールランプが爆発したらしくて、それで……」
みちるが言い終わる前に立ちあがり、教室を出て行く姫花
姫花(嘘でしょ……アルト!)
〇休み時間、保健室
姫花「アルト!」
勢いよく保健室の扉を開ける姫花
そこには泣きじゃくる夢乃となだめているアルトの姿が
夢乃、姫花の方を見て席を立ち、保健室を後にする
アルト「………」
姫花「……あ、アルト……大丈夫なの?」
アルト「ああ。……と、言いたいところだけど」
姫花「えっ?」
ベッドに仰向けに倒れるアルト
慌てる姫花
アルト「アルコールランプが爆発するって思った瞬間、吸血鬼の力を使ってアイツのこと守ったから、マジ疲れた……」
姫花「アイツって愛牧さん?」
アルト「ああ。ビーカーとか割れて、危うく顔に傷が残るところだった。良かった守れて」
姫花「うん……」
心配と嫉妬の混じった表情の姫花
ゆっくりとアルトに近付く
姫花「アルト……」
アルト「ん?」
姫花「吸血鬼の力、使ってヘトヘトなんでしょ?」
アルト「あー、まあな。貧血みたいな感じだ」
姫花「だったら……」
ワイシャツのボタンを外し、鎖骨まで露わにする姫花
目を見開くアルト
姫花「血、飲んでよ」
アルト「それは……」
姫花「私、アルトの『ツガイ』だよ? こんな時こそ役に立ちたい」
アルト「姫花……」
ごくり、と喉を鳴らすアルト
二人、ゆっくりと近付く
姫花の肩に吸い付くアルト
姫花「んっ……」
しばらく沈黙が続く
ゴクゴクと姫花の血を飲むアルト
アルト、そっと姫花から離れる
アルト「……平気か?」
姫花「うん……アルトは?」
アルト「すげー元気」
ニッと笑うアルト
安心する姫花
そのままアルトに抱きつく
アルト「うおっ!?」
姫花「………」
アルト「ど、どうした……?」
姫花「心配、した……っ」
アルト「あー……」
ポンポンと姫花の背中を優しく叩くアルト
姫花、半泣きのまま体を離す
姫花「ねえアルト」
アルト「ん?」
姫花「アルト、前に言ってたよね。恋人ができたら『ツガイ』を上書きする、って」
アルト「……ああ」
姫花、真っ直ぐアルトを見る
姫花「アルトもいつか……誰かを『ツガイ』にするの?」
アルト「………」
姫花「………」
アルト「姫花が『ツガイ』を嫌だって言うならそうするよ」
姫花「嫌じゃないよ……っ!」
ハッキリと言い放った姫かに驚くアルト
姫花「嫌じゃない……。むしろ……」
姫花「アルトが他の人を『ツガイ』にする方が嫌だ」
アルト「……!」
しばらく見つめ合う二人
両者とも顔が赤い
アルト「それって、幼なじみとして? それとも……」
アルトの問いに、口を開き、答えようとする姫花