幼なじみは私の秘密の吸血鬼【マンガシナリオ】
第十三話 こじれる
姫花「嫌じゃない……。むしろ……」
姫花「アルトが他の人を『ツガイ』にする方が嫌だ」
アルト「……!」
アルト「それって、幼なじみとして? それとも……」
姫花「それは……」
そこでチャイムが鳴り響く
距離が近く、ハッとなる二人
とくに姫花は真っ赤になり、慌ててベッドから下りる
姫花「あっ、えーと……きょ、教室戻らなきゃ……」
アルト「姫花」
急いで保健室から出て行こうとする姫花
アルトに呼び止められる
アルト「俺……期待していい?」
姫花「……っ」
しばし見つめ合う二人
コクリと頷く姫花
恥ずかしさで逃げるように保健室を出て行く
姫花(わ……)
姫花(わぁああああああ!)
姫花(私、私っ……告白したも同然だよね!?)
姫花(わぁああああ、どうしようどうしよう)
顔を真っ赤にしてパニックになる姫花
〇休み時間、姫花の教室(1-C)
みちる「姫花ー?」
魂が抜けたように茫然として椅子に座っている姫花
みちるが姫花の体を揺さぶる
みちる「ちょっとー! もう! さっきの授業も遅刻してくるし」
みちる「来栖くんのとこ行ってたんでしょ? 何かあったの?」
姫花「っ……!」
アルトの名前を出されハッとなる姫花
見る見る内に顔を赤くさせる
みちる「え……何その反応」
姫花「いや、あの、えっと……」
みちる「来栖くんは大丈夫だったの?」
姫花「アルトは何ともなかった。平気……」
みちる「むしろ姫花の方が平気じゃないような……」
みちる「まあ来栖くんが大丈夫だったならいいけどさ」
姫花「うん……」
心ここにあらずな姫花を残し、みちる離れていく
アルト『俺……期待していい?』
姫花、アルトのことを思い出し一人慌てる
姫花(あれって、私の気持ち、もうバレてるってことだよね)
姫花(き、期待って……いや、でも私は……)
姫花(私は幼なじみとしてじゃなく、アルトが他の人を『ツガイ』にするのが嫌だってわかったから……)
姫花(おおお落ち着け私! ……ん?)
スマホに通知がきたと気付き取り出す姫花
そこにはいつも遊んでいるMMOゲームのメンテナンス通知が
姫花・狩夜「「メンテかぁ……」」
ハモった二人、スマホを持ちながら見つめ合う
姫花「え……?」
狩夜「あれ、今メンテって言った?」
姫花「う、うん。いつもやってるゲームがメンテ入るってお知らせ来て……」
狩夜「もしかして『ファイナルモンスタークエスト』?」
姫花「そ、そう!」
姫花「えっ……狩夜くんもやってるの!?」
思わぬ仲間を見つけ、興奮する姫花
狩夜も驚きつつ嬉しそうにする
狩夜「うん。というか……」
そこで狩夜、考え込む
狩夜「鷹(タカ)山姫(ヒメ)花……って」
狩夜「もしかして『タカヒメ』さん?」
姫花「え? え?」
姫花「は……『ハント』さん?」
狩夜「……うん」
姫花「えええええええええええ!?」
〇階段
ひと気の無い階段の方へ移動した姫花と狩夜
姫花「ほ、ほ、ホントに『ハント』さんなの……!?」
狩夜「うん。これほら、ログイン記録」
ゲーム機を取り出して画面を見せる狩夜
姫花「うわーっ、ホントだー!」
狩夜「まさかこんな身近に『タカヒメ』さんがいるとはね……」
姫花「こっちだってビックリだよ!」
姫花「いや、っていうか……」
狩夜「うん?」
姫花「色々とお世話になってます!」
ガバッと勢いよく頭を下げる姫花
一瞬固まる狩夜だが、その様子に大笑いする
狩夜「あははっ! そんなにならなくても……」
姫花「だって、ゲーム関連もそうだけど、色々プライベートな相談にも乗ってもらったし……」
狩夜「それなら俺だってたくさん相談乗ってもらったよ」
姫花「そ、そうかな……」
姫花「あ。そういえば前に引っ越しがどうの言ってたのって……」
狩夜「ああ。うん、そうだよ。転校するため」
姫花「うわー、そういうことだったのかぁ!」
狩夜「鷹山さんも幼なじみのことたくさん話題に上げてたけど、あれって来栖くん……」
姫花「わぁああああ! 今思うと恥ずかしい! 恥ずかしい!」
狩夜「あはは」
ひとしきり笑った後、狩夜、微笑しながら告げる
狩夜「鷹山さんが前からお世話になってる『タカヒメ』さんなら、改めて忠告したいな」
姫花「え……?」
狩夜「来栖アルトくんのこと」
姫花「……!」
狩夜「吸血鬼の力には人間では出せないような怪力や身体能力もあるけど……それより恐ろしいのは魅了の力だ」
姫花、1話で魅了の力を使い男たちを追い払ったことを思い出す
狩夜「俺やヴァンパイアハンター仲間が退治して来た悪い吸血鬼たちは、その魅了の力も含め、どんな手を使ってでも相手の血を得ようとする」
狩夜「鷹山さんは、自分が魅了の力を使われてないって言い切れる?」
姫花「それは……」
狩夜「……まあ、来栖くんはそんなことしないだろうと、俺も思ってるけどね」
姫花「狩夜くん……」
はあ、とため息をつく狩夜
狩夜の言葉に喜ぶ姫花
狩夜「ただ、幼なじみって立場を利用して『ツガイ』として鷹山さんを縛り付けているなら、それはゲーム友達として見過ごせないと思って」
姫花「あ……ありがとう」
狩夜の言葉に照れる姫花
姫花「狩夜くんは、やっぱり優しいね」
姫花「なんだかんだで私を……ううん、私だけじゃなく、アルトのことも含めて心配してくれてる」
姫花「でも、大丈夫だよ」
姫花「私、幼なじみって枠組みを越えてアルトのことが……す、好きってわかったから」
姫花「だからアルトに血をあげるのだって、ちゃんと私からの好意があってのことだから」
姫花の告白に面食らう狩夜
そして柔らかく笑う
狩夜「そういうのは、来栖くんに言ってあげな」
姫花「うっ……はい」
楽しそうに二人だけの世界で会話を弾ませる姫花と狩夜
アルト「………」
そんな二人の姿を、保健室から帰ってきたアルトはバッチリ見てしまう
嫉妬心に駆られる
〇夜、姫花の家、姫花の部屋
パジャマ姿でベッドに寝転がっている姫花
姫花(今日はなんだか凄い一日だったな……)
姫花(まさか狩夜くんが『ハント』さんだとは思わなかったし……)
姫花(あとアルトに……私……)
アルト『俺……期待していい?』
姫花、枕に顔を埋める
姫花(あぁあああああ~、それって、それってさぁ)
姫花(アルトも同じ気持ちってことでいいのかな……)
と、その時
コンコンと窓が外から叩かれる
姫花「へっ!?」
驚きつつ、恐る恐るカーテンを開ける姫花
そこにはアルトの姿が
姫花「えっ、ちょっ……どうしたの!?」
アルト「んー」
ガシガシと頭をかきながら、どこか煮え切らない態度のアルト
そして、ゆっくりと姫花の方を向いたその瞳は赤色になっている
姫花(え……? アルト、目が……)
アルト「姫花」
アルト、姫花にキスをしようとする
姫花「っ!」
反射的に逃げる姫花
そんな姫花をジッと見つめるアルト
姫花「な、何するの……!」
アルト「……今日、あの転校生と何話してた?」
姫花「え……狩夜くん……?」
アルト「………」
姫花「話って、普通にゲームのこととか……」
アルト「あいつは俺のこと目の敵にしてる奴なんだぞ?」
姫花「そ、そうだけど……それは立場的な問題で、実際は狩夜くんもアルトの心配してくれてるんだよ?」
アルト「それもあいつの罠かもしれねぇじゃん。俺を退治するためにおまえに近付いてる場合もあるだろ」
姫花「そっ……そんなことないよ! あんまり狩夜くんのこと悪く言わないで!」
ハッキリと言い放つ姫花に、顔をしかめるアルト
アルト「……そうかよ」
アルト「だったら……転校生と仲良くしてろよ」
言って、自宅へ飛んで帰っていくアルト
残され、茫然とする姫花
姫花(アルト――!?)
姫花「アルトが他の人を『ツガイ』にする方が嫌だ」
アルト「……!」
アルト「それって、幼なじみとして? それとも……」
姫花「それは……」
そこでチャイムが鳴り響く
距離が近く、ハッとなる二人
とくに姫花は真っ赤になり、慌ててベッドから下りる
姫花「あっ、えーと……きょ、教室戻らなきゃ……」
アルト「姫花」
急いで保健室から出て行こうとする姫花
アルトに呼び止められる
アルト「俺……期待していい?」
姫花「……っ」
しばし見つめ合う二人
コクリと頷く姫花
恥ずかしさで逃げるように保健室を出て行く
姫花(わ……)
姫花(わぁああああああ!)
姫花(私、私っ……告白したも同然だよね!?)
姫花(わぁああああ、どうしようどうしよう)
顔を真っ赤にしてパニックになる姫花
〇休み時間、姫花の教室(1-C)
みちる「姫花ー?」
魂が抜けたように茫然として椅子に座っている姫花
みちるが姫花の体を揺さぶる
みちる「ちょっとー! もう! さっきの授業も遅刻してくるし」
みちる「来栖くんのとこ行ってたんでしょ? 何かあったの?」
姫花「っ……!」
アルトの名前を出されハッとなる姫花
見る見る内に顔を赤くさせる
みちる「え……何その反応」
姫花「いや、あの、えっと……」
みちる「来栖くんは大丈夫だったの?」
姫花「アルトは何ともなかった。平気……」
みちる「むしろ姫花の方が平気じゃないような……」
みちる「まあ来栖くんが大丈夫だったならいいけどさ」
姫花「うん……」
心ここにあらずな姫花を残し、みちる離れていく
アルト『俺……期待していい?』
姫花、アルトのことを思い出し一人慌てる
姫花(あれって、私の気持ち、もうバレてるってことだよね)
姫花(き、期待って……いや、でも私は……)
姫花(私は幼なじみとしてじゃなく、アルトが他の人を『ツガイ』にするのが嫌だってわかったから……)
姫花(おおお落ち着け私! ……ん?)
スマホに通知がきたと気付き取り出す姫花
そこにはいつも遊んでいるMMOゲームのメンテナンス通知が
姫花・狩夜「「メンテかぁ……」」
ハモった二人、スマホを持ちながら見つめ合う
姫花「え……?」
狩夜「あれ、今メンテって言った?」
姫花「う、うん。いつもやってるゲームがメンテ入るってお知らせ来て……」
狩夜「もしかして『ファイナルモンスタークエスト』?」
姫花「そ、そう!」
姫花「えっ……狩夜くんもやってるの!?」
思わぬ仲間を見つけ、興奮する姫花
狩夜も驚きつつ嬉しそうにする
狩夜「うん。というか……」
そこで狩夜、考え込む
狩夜「鷹(タカ)山姫(ヒメ)花……って」
狩夜「もしかして『タカヒメ』さん?」
姫花「え? え?」
姫花「は……『ハント』さん?」
狩夜「……うん」
姫花「えええええええええええ!?」
〇階段
ひと気の無い階段の方へ移動した姫花と狩夜
姫花「ほ、ほ、ホントに『ハント』さんなの……!?」
狩夜「うん。これほら、ログイン記録」
ゲーム機を取り出して画面を見せる狩夜
姫花「うわーっ、ホントだー!」
狩夜「まさかこんな身近に『タカヒメ』さんがいるとはね……」
姫花「こっちだってビックリだよ!」
姫花「いや、っていうか……」
狩夜「うん?」
姫花「色々とお世話になってます!」
ガバッと勢いよく頭を下げる姫花
一瞬固まる狩夜だが、その様子に大笑いする
狩夜「あははっ! そんなにならなくても……」
姫花「だって、ゲーム関連もそうだけど、色々プライベートな相談にも乗ってもらったし……」
狩夜「それなら俺だってたくさん相談乗ってもらったよ」
姫花「そ、そうかな……」
姫花「あ。そういえば前に引っ越しがどうの言ってたのって……」
狩夜「ああ。うん、そうだよ。転校するため」
姫花「うわー、そういうことだったのかぁ!」
狩夜「鷹山さんも幼なじみのことたくさん話題に上げてたけど、あれって来栖くん……」
姫花「わぁああああ! 今思うと恥ずかしい! 恥ずかしい!」
狩夜「あはは」
ひとしきり笑った後、狩夜、微笑しながら告げる
狩夜「鷹山さんが前からお世話になってる『タカヒメ』さんなら、改めて忠告したいな」
姫花「え……?」
狩夜「来栖アルトくんのこと」
姫花「……!」
狩夜「吸血鬼の力には人間では出せないような怪力や身体能力もあるけど……それより恐ろしいのは魅了の力だ」
姫花、1話で魅了の力を使い男たちを追い払ったことを思い出す
狩夜「俺やヴァンパイアハンター仲間が退治して来た悪い吸血鬼たちは、その魅了の力も含め、どんな手を使ってでも相手の血を得ようとする」
狩夜「鷹山さんは、自分が魅了の力を使われてないって言い切れる?」
姫花「それは……」
狩夜「……まあ、来栖くんはそんなことしないだろうと、俺も思ってるけどね」
姫花「狩夜くん……」
はあ、とため息をつく狩夜
狩夜の言葉に喜ぶ姫花
狩夜「ただ、幼なじみって立場を利用して『ツガイ』として鷹山さんを縛り付けているなら、それはゲーム友達として見過ごせないと思って」
姫花「あ……ありがとう」
狩夜の言葉に照れる姫花
姫花「狩夜くんは、やっぱり優しいね」
姫花「なんだかんだで私を……ううん、私だけじゃなく、アルトのことも含めて心配してくれてる」
姫花「でも、大丈夫だよ」
姫花「私、幼なじみって枠組みを越えてアルトのことが……す、好きってわかったから」
姫花「だからアルトに血をあげるのだって、ちゃんと私からの好意があってのことだから」
姫花の告白に面食らう狩夜
そして柔らかく笑う
狩夜「そういうのは、来栖くんに言ってあげな」
姫花「うっ……はい」
楽しそうに二人だけの世界で会話を弾ませる姫花と狩夜
アルト「………」
そんな二人の姿を、保健室から帰ってきたアルトはバッチリ見てしまう
嫉妬心に駆られる
〇夜、姫花の家、姫花の部屋
パジャマ姿でベッドに寝転がっている姫花
姫花(今日はなんだか凄い一日だったな……)
姫花(まさか狩夜くんが『ハント』さんだとは思わなかったし……)
姫花(あとアルトに……私……)
アルト『俺……期待していい?』
姫花、枕に顔を埋める
姫花(あぁあああああ~、それって、それってさぁ)
姫花(アルトも同じ気持ちってことでいいのかな……)
と、その時
コンコンと窓が外から叩かれる
姫花「へっ!?」
驚きつつ、恐る恐るカーテンを開ける姫花
そこにはアルトの姿が
姫花「えっ、ちょっ……どうしたの!?」
アルト「んー」
ガシガシと頭をかきながら、どこか煮え切らない態度のアルト
そして、ゆっくりと姫花の方を向いたその瞳は赤色になっている
姫花(え……? アルト、目が……)
アルト「姫花」
アルト、姫花にキスをしようとする
姫花「っ!」
反射的に逃げる姫花
そんな姫花をジッと見つめるアルト
姫花「な、何するの……!」
アルト「……今日、あの転校生と何話してた?」
姫花「え……狩夜くん……?」
アルト「………」
姫花「話って、普通にゲームのこととか……」
アルト「あいつは俺のこと目の敵にしてる奴なんだぞ?」
姫花「そ、そうだけど……それは立場的な問題で、実際は狩夜くんもアルトの心配してくれてるんだよ?」
アルト「それもあいつの罠かもしれねぇじゃん。俺を退治するためにおまえに近付いてる場合もあるだろ」
姫花「そっ……そんなことないよ! あんまり狩夜くんのこと悪く言わないで!」
ハッキリと言い放つ姫花に、顔をしかめるアルト
アルト「……そうかよ」
アルト「だったら……転校生と仲良くしてろよ」
言って、自宅へ飛んで帰っていくアルト
残され、茫然とする姫花
姫花(アルト――!?)