幼なじみは私の秘密の吸血鬼【マンガシナリオ】
第二話 世界で一番大切な
〇一話回想シーン
アルト、姫花の肩から血を吸う
姫花(アルトを助けたくて無我夢中だった)
姫花(吸血行為は全然痛くなくて……意識が一瞬だけ遠のく感じがした)
アルト「俺たちだけの秘密ね」
姫花(にやりと笑ったアルトは、本当に吸血鬼そのもので――)
〇回想終了
〇朝、姫花の家の前
姫花「いってきまーす」
姫花、家を出る
隣の家のアルトも家を出てくる
アルト「お! おはよ」
姫花「う、うん。おはよう」
歯を見せて笑ってくるアルト
神妙な顔付きの姫花
〇通学路
二人、並んで登校
アルト「どうしたんだよ。腹の調子でも悪いのか?」
姫花「ち、違うよ! そうじゃなくて昨日……」
アルト「昨日? ああ」
アルト、姫花の頭を撫でる
アルト「ありがとな、姫花。お陰で助かった」
アルト「もしかしてそれで具合悪いのか?」
姫花「ううん。いたって元気だよ私は」
姫花「アルトこそ具合は大丈夫なの?」
アルト「へーきへーき。むしろ姫花の血のお陰で元気なぐらいだぜ」
姫花「そっか……」
姫花(良かった……。ずっと不安だったんだよね)
姫花(もし私の血が合わなかったらどうしよう、って)
ホッとする姫花
アルト「あ。でも問題はあったかも」
姫花「え!? なに!?」
慌てる姫花に、呑気そうなアルト
アルト「今日、昼休み話すわ」
姫花「え、えぇ~!? 気になるよ」
アルト「あはは」
姫花(問題ってなんだろう……)
〇朝、学校、姫花の教室(1-C)
授業を受けながら考え事をする姫花
姫花(やっぱり私の血が合わなくてアレルギーが出たとか……?)
姫花(血を飲むのはいけない行為だからヤバいことになるとか……?)
姫花(っていうか、私が吸血鬼になっちゃうとか……!?)
先生「鷹山ー。百面相する暇があるならこの問題解いてくれー」
姫花「へっ? あ、は、はい!」
席から勢いよく立ち上がる姫花
周りは笑っている
姫花(もぉ~~~! アルトが昼休みまでもったいぶるからこんなことに……!)
〇昼休み、中庭
中庭に向かう姫花
すでにベンチに座っているアルト
アルト「よーっす!」
姫花(昨日、私の血を飲んだ時は吸血鬼って感じだったのになぁ)
アルト、コンビニのパンを食べている
姫花、お弁当を広げながら問いただす
姫花「それで、問題って?」
アルト「あー……それがさぁ」
アルト「父さんから昔聞いたことがあったんだけど、人間の血を飲んだ吸血鬼は、その人間を『ツガイ』にする決まりなんだって」
姫花「『ツガイ』? 何それ」
アルト「血をもらう契約相手みたいな?」
アルト「人間と共存するために、むやみやたらに人間の血を求めないよう取り決めたルールの一つらしくて、基本的に『ツガイ』以外の血は飲んじゃいけないんだ」
姫花「え、えぇー!? それって私、一生アルトに血を分け与えるってこと!?」
アルト「つっても、大ケガしたり吸血鬼の力を使い過ぎたりしなきゃ血は必要無いからさぁ」
姫花「そ、そんなこと言ったって……」
アルト「それに、『ツガイ』って上書きできるんだ」
姫花「上書き?」
首を傾げる姫花
アルト「そう、上書き。『ツガイ』でとくに多いのは、恋人同士なんだって。だから俺も、恋人ができたら『ツガイ』の上書きすりゃいいのかなーって」
姫花「………」
姫花、胸にチクリと痛みが走る ※アルトの恋人発言への嫉妬と悲しみ(自覚無し)
アルト、姫花の方を向いてにやりと笑う
アルト「それとも姫花~」
姫花「な、なに?」
アルト「俺と付き合う?」
一気に顔を赤くする姫花
姫花「ばっ……何言ってんの!?」
アルト「あはは。冗談だよ。俺たち何年の付き合いだと思ってんの?」
姫花「そうだよ、まったく……」
照れ隠しのようにお弁当をかきこむ姫花
そんな姫花に、真剣な眼差しを向けるアルト
アルト「まあ、だからさ……。勝手に『ツガイ』なんかにしちゃって、ごめんな」
真面目なアルトに、姫花は首を横に振る
姫花「ううん。昨日も言ったけど、元は私が原因だし、先に助けてくれたのはアルトの方だもん」
姫花「……だから、今後私の血がどーーーしても欲しくなったら分けてあげてもいいけどね!」
アルト「なんだよそれー」
じゃれあう二人
しかし内心おだやかではない姫花
〇午後、体育館、体育の授業
バレーボールの試合をしている姫花
姫花(『ツガイ』かぁ……)
姫花(アルトはけっこう軽く言ってたけど、実は責任重大な関係なんじゃないかなぁ)
姫花(本当なら、心に決めた人を『ツガイ』にするんじゃないの……?)
アルト『それとも姫花~、俺と付き合う?』
姫花(……冗談でもそんな軽々と言わないでよね、馬鹿アルト)
姫花(私は……アルトと『幼なじみ』って関係を凄く大事にしてるのに)
姫花(付き合う?とか軽々と言うし、『ツガイ』なんて関係になっちゃうし……)
姫花(……もしかして『幼なじみ』って関係を大事にしてるのって、私だけなのかなぁ)
みちる「姫花~、ボール行ったよー!」
姫花「へ?」
顔面でボールを受け止める姫花
みちる「きゃー! 姫花、大丈夫!?」
姫花「だ、大丈夫……」
よろけながら顔面を赤くする姫花
姫花(あ~あ。調子狂うなぁ……)
〇夕方、放課後、姫花の教室(1-C)
帰りの支度をしている姫花
姫花(今日は帰ったら先にお風呂済ませて、ゆっくりゲームしようかな)
姫花(ハントさん誘って新しいダンジョンに挑むのもアリだなぁ~)
別のクラス(1-A)の夢乃が姫花に近寄ってくる
夢乃「ちょっといいかな?」
姫花「え、あ、はい?」
姫花(別クラスの子だ……あ!)
姫花(学年で一番カワイイと噂されている愛牧夢乃さんだ……!)
姫花(うわぁ、確かに可愛い~……)
姫花「な、何か用でしょうか?」
夢乃「あの……」
姫花(うわー、声まで可愛い~……)
夢乃「鷹山さんってアルトくんと付き合ってるの?」
姫花「へ?」
固まる姫花
姫花「いや……付き合ってないけど」
夢乃「本当に?」
姫花「本当だよ。っていうかアルトとは幼なじみで……」
夢乃「でもアルトくん、幼なじみじゃないって言ってたよ?」
姫花「えっ……?」
姫花(え? え? ちょっと待って……)
姫花(この子、アルトに同じ質問しておきながら私の方にまで来たの?)
姫花(っていうか……っていうかアルト、幼なじみじゃないってどういうこと?)
姫花、涙ぐむ
姫花(なにそれ……)
姫花(やっぱり幼なじみって関係を大事にしてたの……私だけなんだ……)
そこに現れるアルト
アルト「おーい姫花まだいるー?……って、何やってんの?」
夢乃「アルトくん……っ」
姫花「アルト……」
姫花「今……愛牧さんから、アルトが私のこと幼なじみじゃないって言ってたって言われて……」
姫花(やだな……胸が痛い……)
姫花(幼なじみじゃないのは『ツガイ』ってのになっちゃったから……?)
姫花(それとも……初めから……?)
夢乃「アルトくん、鷹山さんとはただの幼なじみなんでしょ?って訊いたら違うって言ったよね?」
アルト「あー……まあな」
姫花「……っ」
胸を痛める姫花
すると姫花と肩を抱き、にっこり笑うアルト
アルト「姫花は“ただの”幼なじみじゃなくて、世界で一番大切な幼なじみなんだよね」
姫花(え……?)
アルト「そこんとこ間違えないで♪」
帰ろうぜーと姫花を連れていくアルト
教室を出て行く二人を唖然とした顔で見ている夢乃
夢乃「……ふーん」
意味深に呟く夢乃
〇夕方、帰り道
姫花(世界で一番大切な幼なじみ……か)
アルト「なあ。なんか顔赤くね?」
姫花「ゆっ、夕日が当たってるからだよ……!」
姫花(アルトから一番欲しかった言葉かもしれない……)
微笑む姫花
アルト、姫花の肩から血を吸う
姫花(アルトを助けたくて無我夢中だった)
姫花(吸血行為は全然痛くなくて……意識が一瞬だけ遠のく感じがした)
アルト「俺たちだけの秘密ね」
姫花(にやりと笑ったアルトは、本当に吸血鬼そのもので――)
〇回想終了
〇朝、姫花の家の前
姫花「いってきまーす」
姫花、家を出る
隣の家のアルトも家を出てくる
アルト「お! おはよ」
姫花「う、うん。おはよう」
歯を見せて笑ってくるアルト
神妙な顔付きの姫花
〇通学路
二人、並んで登校
アルト「どうしたんだよ。腹の調子でも悪いのか?」
姫花「ち、違うよ! そうじゃなくて昨日……」
アルト「昨日? ああ」
アルト、姫花の頭を撫でる
アルト「ありがとな、姫花。お陰で助かった」
アルト「もしかしてそれで具合悪いのか?」
姫花「ううん。いたって元気だよ私は」
姫花「アルトこそ具合は大丈夫なの?」
アルト「へーきへーき。むしろ姫花の血のお陰で元気なぐらいだぜ」
姫花「そっか……」
姫花(良かった……。ずっと不安だったんだよね)
姫花(もし私の血が合わなかったらどうしよう、って)
ホッとする姫花
アルト「あ。でも問題はあったかも」
姫花「え!? なに!?」
慌てる姫花に、呑気そうなアルト
アルト「今日、昼休み話すわ」
姫花「え、えぇ~!? 気になるよ」
アルト「あはは」
姫花(問題ってなんだろう……)
〇朝、学校、姫花の教室(1-C)
授業を受けながら考え事をする姫花
姫花(やっぱり私の血が合わなくてアレルギーが出たとか……?)
姫花(血を飲むのはいけない行為だからヤバいことになるとか……?)
姫花(っていうか、私が吸血鬼になっちゃうとか……!?)
先生「鷹山ー。百面相する暇があるならこの問題解いてくれー」
姫花「へっ? あ、は、はい!」
席から勢いよく立ち上がる姫花
周りは笑っている
姫花(もぉ~~~! アルトが昼休みまでもったいぶるからこんなことに……!)
〇昼休み、中庭
中庭に向かう姫花
すでにベンチに座っているアルト
アルト「よーっす!」
姫花(昨日、私の血を飲んだ時は吸血鬼って感じだったのになぁ)
アルト、コンビニのパンを食べている
姫花、お弁当を広げながら問いただす
姫花「それで、問題って?」
アルト「あー……それがさぁ」
アルト「父さんから昔聞いたことがあったんだけど、人間の血を飲んだ吸血鬼は、その人間を『ツガイ』にする決まりなんだって」
姫花「『ツガイ』? 何それ」
アルト「血をもらう契約相手みたいな?」
アルト「人間と共存するために、むやみやたらに人間の血を求めないよう取り決めたルールの一つらしくて、基本的に『ツガイ』以外の血は飲んじゃいけないんだ」
姫花「え、えぇー!? それって私、一生アルトに血を分け与えるってこと!?」
アルト「つっても、大ケガしたり吸血鬼の力を使い過ぎたりしなきゃ血は必要無いからさぁ」
姫花「そ、そんなこと言ったって……」
アルト「それに、『ツガイ』って上書きできるんだ」
姫花「上書き?」
首を傾げる姫花
アルト「そう、上書き。『ツガイ』でとくに多いのは、恋人同士なんだって。だから俺も、恋人ができたら『ツガイ』の上書きすりゃいいのかなーって」
姫花「………」
姫花、胸にチクリと痛みが走る ※アルトの恋人発言への嫉妬と悲しみ(自覚無し)
アルト、姫花の方を向いてにやりと笑う
アルト「それとも姫花~」
姫花「な、なに?」
アルト「俺と付き合う?」
一気に顔を赤くする姫花
姫花「ばっ……何言ってんの!?」
アルト「あはは。冗談だよ。俺たち何年の付き合いだと思ってんの?」
姫花「そうだよ、まったく……」
照れ隠しのようにお弁当をかきこむ姫花
そんな姫花に、真剣な眼差しを向けるアルト
アルト「まあ、だからさ……。勝手に『ツガイ』なんかにしちゃって、ごめんな」
真面目なアルトに、姫花は首を横に振る
姫花「ううん。昨日も言ったけど、元は私が原因だし、先に助けてくれたのはアルトの方だもん」
姫花「……だから、今後私の血がどーーーしても欲しくなったら分けてあげてもいいけどね!」
アルト「なんだよそれー」
じゃれあう二人
しかし内心おだやかではない姫花
〇午後、体育館、体育の授業
バレーボールの試合をしている姫花
姫花(『ツガイ』かぁ……)
姫花(アルトはけっこう軽く言ってたけど、実は責任重大な関係なんじゃないかなぁ)
姫花(本当なら、心に決めた人を『ツガイ』にするんじゃないの……?)
アルト『それとも姫花~、俺と付き合う?』
姫花(……冗談でもそんな軽々と言わないでよね、馬鹿アルト)
姫花(私は……アルトと『幼なじみ』って関係を凄く大事にしてるのに)
姫花(付き合う?とか軽々と言うし、『ツガイ』なんて関係になっちゃうし……)
姫花(……もしかして『幼なじみ』って関係を大事にしてるのって、私だけなのかなぁ)
みちる「姫花~、ボール行ったよー!」
姫花「へ?」
顔面でボールを受け止める姫花
みちる「きゃー! 姫花、大丈夫!?」
姫花「だ、大丈夫……」
よろけながら顔面を赤くする姫花
姫花(あ~あ。調子狂うなぁ……)
〇夕方、放課後、姫花の教室(1-C)
帰りの支度をしている姫花
姫花(今日は帰ったら先にお風呂済ませて、ゆっくりゲームしようかな)
姫花(ハントさん誘って新しいダンジョンに挑むのもアリだなぁ~)
別のクラス(1-A)の夢乃が姫花に近寄ってくる
夢乃「ちょっといいかな?」
姫花「え、あ、はい?」
姫花(別クラスの子だ……あ!)
姫花(学年で一番カワイイと噂されている愛牧夢乃さんだ……!)
姫花(うわぁ、確かに可愛い~……)
姫花「な、何か用でしょうか?」
夢乃「あの……」
姫花(うわー、声まで可愛い~……)
夢乃「鷹山さんってアルトくんと付き合ってるの?」
姫花「へ?」
固まる姫花
姫花「いや……付き合ってないけど」
夢乃「本当に?」
姫花「本当だよ。っていうかアルトとは幼なじみで……」
夢乃「でもアルトくん、幼なじみじゃないって言ってたよ?」
姫花「えっ……?」
姫花(え? え? ちょっと待って……)
姫花(この子、アルトに同じ質問しておきながら私の方にまで来たの?)
姫花(っていうか……っていうかアルト、幼なじみじゃないってどういうこと?)
姫花、涙ぐむ
姫花(なにそれ……)
姫花(やっぱり幼なじみって関係を大事にしてたの……私だけなんだ……)
そこに現れるアルト
アルト「おーい姫花まだいるー?……って、何やってんの?」
夢乃「アルトくん……っ」
姫花「アルト……」
姫花「今……愛牧さんから、アルトが私のこと幼なじみじゃないって言ってたって言われて……」
姫花(やだな……胸が痛い……)
姫花(幼なじみじゃないのは『ツガイ』ってのになっちゃったから……?)
姫花(それとも……初めから……?)
夢乃「アルトくん、鷹山さんとはただの幼なじみなんでしょ?って訊いたら違うって言ったよね?」
アルト「あー……まあな」
姫花「……っ」
胸を痛める姫花
すると姫花と肩を抱き、にっこり笑うアルト
アルト「姫花は“ただの”幼なじみじゃなくて、世界で一番大切な幼なじみなんだよね」
姫花(え……?)
アルト「そこんとこ間違えないで♪」
帰ろうぜーと姫花を連れていくアルト
教室を出て行く二人を唖然とした顔で見ている夢乃
夢乃「……ふーん」
意味深に呟く夢乃
〇夕方、帰り道
姫花(世界で一番大切な幼なじみ……か)
アルト「なあ。なんか顔赤くね?」
姫花「ゆっ、夕日が当たってるからだよ……!」
姫花(アルトから一番欲しかった言葉かもしれない……)
微笑む姫花